2022年05月31日
地道な作業の末
エンフィールド銃の3バンドの潰れていたニップルを取り外せました。
前にプラグ(尾栓)は外せていたのですが、ニップルの先端が無くレンチかけ部分も欠けていたので取り外しに時間がかかりました。
錆で強固に固着していたので、欠けていた残りにしっかりかかるようなレンチを作ってもニップルがさらに欠け、
マイナス溝などを掘ってもやっぱり破損して取り外せず。
ニップルのネジ自体を削って除去するにも焼きが入っていて硬いので、ドリルも歯が立たずリューターで少しずつ穴を広げていってました。
リューターでも時間がかかって飽きるので、毎日風呂を沸かしている時間に少しずつ削っていました。
まあ、リューターで削っているのはこれだけでないのですが。
オネジの穴を広げてネジ山だけにしても、メネジに固着したネジ山が外せなかった(硬くて折れやすく、曲げて取り除きにくかった)ため。
インチタップまで買って、それを使ってようやく除去できました。
タップは一山最初にかみ合わせられたら結構上手くいきましたね。
これでまともな形状のニップルが取り付けられるので、あとは銃身内にブラシを通して錆を取れば射撃も可能な状態になりますね。
ただ、3バンドの39インチ(1メートル弱)銃身にブラシを通して錆を落とすのも非常に骨が折れる作業ですが。
今日は定時で帰ったのでたっぷり時間があり、ニップルの除去が終わった後は、先日買った5分玉(約6mm口径)の火縄銃の折れた尾栓外し。
購入時から尾栓の頭が無く、少し奥まったところで折れた状態です。
ネジの内径も7mmぐらいなのであまりとれる手段が無いです。
左ネジのタップを切って、ネジを入れて叩いたり回したりしながら取り外そうと、まずは1.5mmのドリルを通すとなかなか真っ直ぐ開いて満足。
ちょっとずつ広げようと2mmドリルと通して抜くときにあっさりと折れて・・・
抜くときに逆回転にさせちゃったんですよね。
ドリルもリーマーも逆回転だと抵抗は減るのですが、逃げキリコを噛んでしまいがちで本当はよくありません。
さて、ハイスのドリルを取り除かなければならないので、これも地道なリューターコースですね。
ハイスは超硬ビットでもダイヤモンドヤスリビットでも大して削れる感じがしませんが・・・
2022年05月29日
たまにはお勉強
古式銃については実物を触るだけではなく資料でも勉強して理解を深めていかねばなりませんが、
当時物の手書きの物はほとんど字が読めず。
印刷物の時代の物になると字は読めるので大変助かるのですが、そのまま載せてある分はやはり理解が難しいですね。
古文書の読み方をしっかり理解するのは諦めて、何回か読んでたら段々と理解していくだろうぐらいに繰り返し読んでいます。
古式銃自体の手入れも続けていますが、地道かつ地味な作業ばかりでブログに載せるような段階にはなかなかならないですね。
2022年05月22日
アクセレータ
ポイントのルガーP08をいじりながら、ルガーのショートリコイルは特別だと思ったので思い立ったことを書いてみます。
まず、普通のショートリコイル、例えばガバメントなどはスライドがバレルと一体となって弾丸発射のリコイルで後退し、
弾が出て反動が無くなった後に慣性で動いているスライドとバレルのロックが解除され、バレルはフレームに当たり後退が止まり、
スライドだけがリコイルスプリングの圧縮で速度を落としながらも最後まで後退していくことになります。
P08の場合は弾が出た後にトグルがフレームに当たり、上下方向の速度がゼロだったのが突如上に蹴り上げられます。
ボルトもバレルエクステンションに対して相対位置が後退します。
少なくともこのエアガンではトグルがフレームに当たってから、バレルエクステンションが後退を終えるまでの距離と、
ボルトとバレルエクステンションの位置の変化の長さが同じぐらいです。
それだけでボルトの速度が倍ぐらいになったことになりますが、実際に比例的に距離が変わっているわけでもないことや、
トグルの上下も考えると重たいバレルエクステンションに蓄えられていた運藤エネルギーが軽いボルト周りに移されて急加速するはずです。
つまり、アクセレータ(加速器)付きのショートリコイルなわけですね。
44オートマグみたいですね。
弾が出るまではボルトは軽くてもバレルエクステンションの重さで後退速度を遅くし、
弾が出てからは重いバレルエクステンションに蓄えられたエネルギーで軽いボルトを高速運動させる。
ルガーの回転が速いというのは単純にボルトの軽さとリコイルスプリングの強さだと思っていましたが、
よく考えるとボルトを速く動かすメカニズムが搭載されていたわけです。
ルガーは保持が悪いとジャムりやすいなんて話も聞きますが、
もしかすると保持が甘いとトグルとフレームが当たったときにエネルギーがフレームに逃げて加速が上手くいかないのかもしれませんね。
2022年05月07日
連休なので
連休だから普段触らないものを触ったり。
1/3スケールの半完成で買ったSAA。
フル可動(ファイヤリングピンは上下に遊びませんが)をカチカチと動かすと純粋に凄いなぁと。
動くように調整は得意ですが造形が苦手なので仕上げをできず数年放置。
ミニチュアって仕上がりで全く違う印象になってしまいますからね。
本当に仕上がりが良いものは画像ではミニチュアとわからないぐらい。
市販品のミニチュアなんかはエッジがダレているせいでミニチュアとすぐわかるものが多いですね。
実家に放置のウィットウォース銃も久々に眺めてると、
かなり錆だらけなのに黒染めが残っているところは綺麗だなぁと思ってしまいます。
普通の黒染めされた鉄の棒との違いを聞かれると困りますが。
それに作りはエンフィールド銃と同じようですが微妙に出来が良いんですよね。
ウィットウォース銃は弾道の落差が小さく命中率も高いが、六角形のライフリングが摩耗しやすいと言われています。
多少摩耗したところでしっかり回転しそうですけどね。
弾はエンフィールド銃より小口径ですが長さがあるので弾の重さはエンフィールド銃と変わらず。
小口径の重量弾では初速を確保するには高い圧力が必要となり、エロージョンが進みやすくなります。
また、エンフィールド銃のように弾が広がらないので、弾と銃身の密着性を良くするのも難しいかもしれません。
圧力が高くて、弾と銃身の密着が悪いと色々と悪さをしそうですね。
長い弾をあんまり密着させようとすると装填が大変でしょうし。
Posted by ラスティネイル at
02:19
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2022年05月04日
火縄銃の有効射程
火縄銃の有効射程と言うのは一般的にかなり短いと思われています。
50mより離れると当たらないとか、弓矢より劣るだとか。
冗談みたいなことが大真面目に言われています。
50mなんて現代のエアガンでもまあまあマンターゲットに当たるのでは。
散弾銃のバードショットなら弾速の減衰からして有効射程が短いですけどね。
以前、口径が大きくなると射程が延びるという砲術家レベルでの内容を書きました。
普通の軍用銃をちゃんとした兵士が撃つときは300mぐらいまで近づけば撃ち始めるとも。
今回は一般の農民兵レベルで考えてみます。
まず、有効射程と言うのは用途によって変わります。
現代で言うと警察の狙撃銃なんかは人質を取った相手を一発で確実に行動不能にし、
人質には当ててはいけないということで銃の性能的にも狙撃手の能力的にもかなり余裕を持った距離が有効射程でしょう。
次に特定の人物を狙った狙撃も二の矢が撃てるかわからないのっで確実性が重要になります。
怪我させただけってわけにもいかないでしょうしね。
動物に対する狩も外したら逃げられる可能性が高いです。
まあ、逃げられるだけと言えばそれだけなんですが。
そういう風に考えると、大人数の合戦なんかは誰に当たってもどこに当たっても良いし、
弾に余裕があって相手が徐々に近づいてくるなら当たる可能性のある距離で撃っておいて損はないとなるわけです。
そのため、命中率より発射速度を重視した軍というのもあります。
一発必中だと考えなければ有効射程が延びるので、今回はそういう合戦を考えてみます。
しかしながら、ある一定の距離を離れると銃の命中率(集弾性)に関係なく全く当てられないということも考えられます
弓矢の時代は弓を使う人間はほとんど訓練された武士で、使えない人は投石でもした方が良いぐらいだったかもしれません。
銃は農民でもすぐの訓練で使える反面、その当たる限度が50m程度だったという可能性もあります。
恐らく、水平射撃で当たるのがそれぐらいまでなんですよね。
弓矢っていうのはまあまあ安定して射ることができる人は、距離が離れていても、命中率が低くても数を射れば当たると思います。
その距離がいくらかわからなくたって、手前に落ちたか飛び越えたかで修正ができます。
届く範囲はそのうち当たるよと。
ところが、銃は弾はど見えないのです、どこまで飛んでいったか分からないぐらい飛ぶのに。
身近に考えられるよう投石で例えてみます。
投げやすいサイズの粒ぞろいの石が用意されていて、離れた割と大きな鉄板に投げてくださいと言われても、大抵の人はそのうち当たるでしょう。
しかし、それが真っ暗闇の夜中に鉄板だけ何とか見えているような状態となれば、力加減や角度を変えながら暗中模索で投げて、当たった音がして初めてどのように投げれば良いのかわかると思います。
それで当たるようになったところで、また違う距離の鉄板に当てろと言われれば、さっきまでの軌道が見えていないので参考に出来る部分が少ないです。
そういう意味ではエアガンなんかは弾道が見えるので実銃よりずっと修正射撃がしやすいわけですね。
つまり命中率というと弾の分布を考えてしまいますが、射手が弾道の曲線を覚えていないとそもそも分布域が相手から外れている場合があり、
そのまま撃ち続けるといつまでたっても絶対に当たらないのです。
銃の訓練は操作法と正照準の狙い方がまずは基本で最低限。
ここが火縄銃で50m程度だと思います。
いえ、100mとまでは言えませんがもうちょっと離れても大丈夫でしょうけど、キリ良く確実なのがそれぐらいと。
現代で言うと拳銃ぐらいの山なり弾道でしょうからね。
それ以上は各距離で実際に撃ってみて、距離ごとの狙点を確認しておかなければなりません。
弾道が見えないので、的を撃って実際に着弾するまで試行錯誤して、
当たったときの狙点を覚える、それを各距離繰り返すと。
しかも、その的への着弾も紙や木が相手だと実際に見に行くか、誰かに的付近で見ててもらわないと着弾したのかすらわからないのです
そのようなことを命中率の悪い銃でやると労力がまた膨大に増えます。
当時の各流派の教本でも各口径、各距離ごとの狙点や構え方は書いてありますが、
実際にやってみずにできるか、本当に教本通りになるとしてそれを信じて撃ち続けられるかですね。
仮に距離ごとの撃ち方を完全に覚えたとして、何らかの要因で一発外した時にそれでも狙点は合っていると信じて撃ち続けられるかどうか。
本当に狙点が違った場合はそのままいくら撃っても当たらないかもしれないわけで、なかなか強い精神が要ります。
ベテランのパイロットでもは空間識失調になると計器を信じられなくなるわけですから、自分の覚えている狙点を信じるというのは難しいです。
長距離射撃が夜間飛行並みに難しいとまでは言いませんけどね。
何にしろ、農民兵には厳しい話でしょう。
現実は風も吹いているでしょうし。
火縄銃でも照尺があったり、距離ごとに取りつける器具などを使うと狙点を把握するのが楽で、かなり信頼もできると思いますが、
日本人が本格的に照尺を使うのはエンフィールド銃からかもしれませんね。
これは農民兵でもすぐに使えるので、誰の有効射程も一気に延びてもおかしくありません。
そのエンフィールド銃の照尺を外して火縄銃タイプの慣れた照門にしてしまう人もいたかもしれませんが・・・
火縄銃の長距離射撃は銃の集弾性能よりも人間の方が暗中模索という話でした。
航空機を対象とした場合なんかは、曳光弾でも混ぜないと本当に当てられないだろうなと思ったのは余談ですね。
2022年05月03日
SS9000
今更ながら手に入れてしまいました。まあ、付属品の方が豪華だったのです。
7mm鼓弾で完全にノーマルです。
実家にもう一丁ありますが、リアサイトが壊れていたので久々のアイアンサイト。
スーパー9と違ってスプリングも軽いのでコッキングが楽でカートもよく飛んでいきます。
やっぱり、カート式は楽しいですね。
大きなシリンダーがこの銃の特長ですね。
世代と違う(平成初期生まれ)のですが中学生のときはこれで遊んでいたので懐かしいです。
むしろ、自分より若い世代の方がクラウンのスーパー9の10歳以上用で遊んでいて馴染みがあるかもしれませんね。
詳しいインプレは・・・この個体の状態も良くないのでやめておきます。
2022年05月01日
人は撃たれて吹っ飛ぶか
映画などでは銃で撃たれた人間が飛んでいく描写があります。
ショットガンとかマグナムハンドガンとかで撃たれると特に。
しかしながら現実で撃たれて人が飛んでいくということはあまりないようです。
作用反作用の法則があるのだから、撃った人が吹き飛ばないのだから、撃たれた人も吹き飛ばないという話もあります。
確かに説得力がありますが、相手が細切れになるショットガンを撃って肩が細切れになったとか、スイカが弾けるマグナムハンドガンを撃って手が弾けたという話も聞きません。
では、本当に銃には人を吹き飛ばす威力がないか計算してみましょう。
私の好きなマグナムハンドガンのM29は16gの弾丸が450m/sで飛んでいき、1600Jのエネルギーになるそうです。
では、体重65kgの人が1600Jで動く速度を考えると
√1600/65X2≒7m/sで25km/hとなります。
同様に猟用の12ゲージの猟用32g装弾で初速400m/sと考えるとエネルギーは2600J
65kgで9m/s程度です。時速になおして32.4km/hとなります。
ほぼ全力疾走の速度ですね。
これらは弾丸のエネルギーがすべて人体の移動に使われた場合の速度ですが、
考え方によっては全力疾走の人に体当たりされたときのエネルギーとなります。
これは人間が吹っ飛ばされると考えても良いぐらいではないかと思います。
つまり、弾丸のエネルギーは人を飛んでいかせるのに十分な値ですが、
人体の破壊にエネルギーが使われるので移動はあまりしないと。
では、射手側の受けるエネルギーを考えてみましょう。
簡略化のため火薬の発射ガスの質量を今回は無視するのでいくらか実際のエネルギーより小さくなりますがそれで計算します。
12ゲージのM870の質量3200gだとすると弾丸の質量の100倍となります。
銃単体が跳ねあがり無しで弾丸が飛んでいく反対方向の真後ろに動くとすると、
速度比は質量比の逆数と等しいので弾速の400m/sの1/100の4m/sになります。
ここでエネルギーについて考えると重量に比例して速度の2乗にも比例するので、
質量の大きい方が重量倍されるけど速度が質量分の1になるため、結局のところエネルギーも質量比の逆数になります。
つまり、32gの弾丸を2600Jで撃ち出したM870は人の支えがないと4m/s の26Jで後ろに飛んでいくと。
26Jはそれなりに痛そうですね。
ここで人間が構えて人体の重さも銃に加算されたと考えます。
銃をガッチリ肩に押えて銃と射手が一体になると考えて、銃と上半身が合わさってキリ良く32kgだとしましょう。弾丸質量の1000倍になるわけですから、速さもエネルギーも1000分の1の0.4m/sで2.6Jとなります。
こうすると物凄い小さな値になりますね。
まあ、実際には明らかにもっと痛い反動があるので、人体は軟らかいので質量的一体感はそんなに出ないのでしょう。
作用反作用の法則で働く力は同じですが、受けるエネルギーは全然違うことが分かったと思います。
銃弾が速度変わらず相手を貫通したら、エネルギーは弾丸に残ったままですが、相手で止まってエネルギーが全部伝わったとすると、射手の受けるエネルギーとは桁違い(それこそ吹っ飛ぶほどの)のエネルギーを受けることになるのが銃の本質のようです。
射手の受けるエネルギーは銃をガッチリ保持するほど小さくもなると。
まあ、普通のライフルの場合は受け流した方が肩が痛くならずに済みますが、フルオート火器の場合は受ける反動のエネルギー自体が小さくなるので、制御しやすくなるでしょう。
本題?に戻ってエネルギーが足りているならば本当に人が吹き飛ぶ場合があるかを考えると、例えば散弾を防弾チョッキで広範囲で上手く受けて、諸々の変形ではなく移動に上手く変換出来たら飛んでいくかもしれません。
あとは、驚いた人が勝手に飛び上がった場合など。
実は前々からオートマチックの銃の動作(特にショートリコイル)はあまり理解されていないので、
感覚的ではなく数値的に説明してみたいということの導入でした。