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2022年09月17日

燧石式が作れない


燧石式もしくはフリントロック式の銃は日本では使われず、火縄式の時代が長く続きました。
日本では良い火打石が取れなかったとか、コック(ハンマー)のバネが強くて反動で命中率が悪かったなどと言われています。
撃つごとに変化していく石の状態を管理するのが大変だとか、他にもあるようですが。
いくらか日本製の古式銃を見てきた感覚で言うと、そもそも上手く燧石式の銃が作れなかったという可能性も十分にあると思っています。

日本でも管打ち式が必要となった時代では、輸入だけでなく国産洋式銃の製作や火縄銃からの改造が行われました。
今日でも結構残っておりますが、ハンマーのバネが折れたものやテンションがやたら弱いものを多く見かけます。
折れたものは経年の錆による影響も考えられますが、弱いものは当時からでしょう。
管打ち式は幕末に正に必要に迫られていて、バネなんて上手く出来なければ作り直したでしょうに、ちゃんとしたものでないのが多いのです。
村田銃の時代でもコイルスプリングが作れずに松葉バネですから、日本の鉄のバネの製造技術は低いのです。
まあ、そもそも鉄の材質に問題があるのですが、管打ち式よりも古い時代で、しかも平和なのに製造困難な燧石式は作らないかなと。
バネが弱くて、火打石も悪かったら相乗効果で役立たずな可能性もあります。
カラクリの耐久性としても戦の間は持つぐらいの強度でも普段の訓練で使っていられるかどうか。
日本でも特別に良い出来のカラクリで、特別に良い火打石を用意すれば、いくらかの間は使えますよでは、実用にはできないでしょう。
そこまでする割にはメリットも無いしと。

何故か、素晴らしい日本刀を作っていた日本は鉄の加工が上手かったという話になりますが、
残念ながら工業技術は西洋の足元にも及ばず。
人口に対して侍が多かったので鉄砲の数だけは多かったかもしれないですけどね。
今だって日本刀を作れば日本の刀鍛冶が一番上手いでしょうけど、刀鍛冶に世界の産業製品をコピーして競えと言っても無理でしょう。
技術でなく技能で色々作ってしまう個々人は凄かったと思いますけど、加工機を使えば誰でも作れますという工業技術と勝負できるかどうか。
  

Posted by ラスティネイル at 00:08Comments(2)古式銃(コラム)

2022年05月04日

火縄銃の有効射程


火縄銃の有効射程と言うのは一般的にかなり短いと思われています。
50mより離れると当たらないとか、弓矢より劣るだとか。
冗談みたいなことが大真面目に言われています。
50mなんて現代のエアガンでもまあまあマンターゲットに当たるのでは。
散弾銃のバードショットなら弾速の減衰からして有効射程が短いですけどね。

以前、口径が大きくなると射程が延びるという砲術家レベルでの内容を書きました。
普通の軍用銃をちゃんとした兵士が撃つときは300mぐらいまで近づけば撃ち始めるとも。
今回は一般の農民兵レベルで考えてみます。

まず、有効射程と言うのは用途によって変わります。
現代で言うと警察の狙撃銃なんかは人質を取った相手を一発で確実に行動不能にし、
人質には当ててはいけないということで銃の性能的にも狙撃手の能力的にもかなり余裕を持った距離が有効射程でしょう。
次に特定の人物を狙った狙撃も二の矢が撃てるかわからないのっで確実性が重要になります。
怪我させただけってわけにもいかないでしょうしね。
動物に対する狩も外したら逃げられる可能性が高いです。
まあ、逃げられるだけと言えばそれだけなんですが。
そういう風に考えると、大人数の合戦なんかは誰に当たってもどこに当たっても良いし、
弾に余裕があって相手が徐々に近づいてくるなら当たる可能性のある距離で撃っておいて損はないとなるわけです。
そのため、命中率より発射速度を重視した軍というのもあります。
一発必中だと考えなければ有効射程が延びるので、今回はそういう合戦を考えてみます。
しかしながら、ある一定の距離を離れると銃の命中率(集弾性)に関係なく全く当てられないということも考えられます

弓矢の時代は弓を使う人間はほとんど訓練された武士で、使えない人は投石でもした方が良いぐらいだったかもしれません。
銃は農民でもすぐの訓練で使える反面、その当たる限度が50m程度だったという可能性もあります。
恐らく、水平射撃で当たるのがそれぐらいまでなんですよね。
弓矢っていうのはまあまあ安定して射ることができる人は、距離が離れていても、命中率が低くても数を射れば当たると思います。
その距離がいくらかわからなくたって、手前に落ちたか飛び越えたかで修正ができます。
届く範囲はそのうち当たるよと。
ところが、銃は弾はど見えないのです、どこまで飛んでいったか分からないぐらい飛ぶのに。

身近に考えられるよう投石で例えてみます。
投げやすいサイズの粒ぞろいの石が用意されていて、離れた割と大きな鉄板に投げてくださいと言われても、大抵の人はそのうち当たるでしょう。
しかし、それが真っ暗闇の夜中に鉄板だけ何とか見えているような状態となれば、力加減や角度を変えながら暗中模索で投げて、当たった音がして初めてどのように投げれば良いのかわかると思います。
それで当たるようになったところで、また違う距離の鉄板に当てろと言われれば、さっきまでの軌道が見えていないので参考に出来る部分が少ないです。
そういう意味ではエアガンなんかは弾道が見えるので実銃よりずっと修正射撃がしやすいわけですね。

つまり命中率というと弾の分布を考えてしまいますが、射手が弾道の曲線を覚えていないとそもそも分布域が相手から外れている場合があり、
そのまま撃ち続けるといつまでたっても絶対に当たらないのです。

銃の訓練は操作法と正照準の狙い方がまずは基本で最低限。
ここが火縄銃で50m程度だと思います。
いえ、100mとまでは言えませんがもうちょっと離れても大丈夫でしょうけど、キリ良く確実なのがそれぐらいと。
現代で言うと拳銃ぐらいの山なり弾道でしょうからね。
それ以上は各距離で実際に撃ってみて、距離ごとの狙点を確認しておかなければなりません。
弾道が見えないので、的を撃って実際に着弾するまで試行錯誤して、
当たったときの狙点を覚える、それを各距離繰り返すと。
しかも、その的への着弾も紙や木が相手だと実際に見に行くか、誰かに的付近で見ててもらわないと着弾したのかすらわからないのです
そのようなことを命中率の悪い銃でやると労力がまた膨大に増えます。
当時の各流派の教本でも各口径、各距離ごとの狙点や構え方は書いてありますが、
実際にやってみずにできるか、本当に教本通りになるとしてそれを信じて撃ち続けられるかですね。
仮に距離ごとの撃ち方を完全に覚えたとして、何らかの要因で一発外した時にそれでも狙点は合っていると信じて撃ち続けられるかどうか。
本当に狙点が違った場合はそのままいくら撃っても当たらないかもしれないわけで、なかなか強い精神が要ります。
ベテランのパイロットでもは空間識失調になると計器を信じられなくなるわけですから、自分の覚えている狙点を信じるというのは難しいです。
長距離射撃が夜間飛行並みに難しいとまでは言いませんけどね。
何にしろ、農民兵には厳しい話でしょう。
現実は風も吹いているでしょうし。

火縄銃でも照尺があったり、距離ごとに取りつける器具などを使うと狙点を把握するのが楽で、かなり信頼もできると思いますが、
日本人が本格的に照尺を使うのはエンフィールド銃からかもしれませんね。
これは農民兵でもすぐに使えるので、誰の有効射程も一気に延びてもおかしくありません。
そのエンフィールド銃の照尺を外して火縄銃タイプの慣れた照門にしてしまう人もいたかもしれませんが・・・

火縄銃の長距離射撃は銃の集弾性能よりも人間の方が暗中模索という話でした。
航空機を対象とした場合なんかは、曳光弾でも混ぜないと本当に当てられないだろうなと思ったのは余談ですね。  

Posted by ラスティネイル at 01:49Comments(0)古式銃(コラム)

2020年10月22日

息を吹くのは


銃身に息を吹くというと西部劇なんかで撃ち終わった後に銃口に息を吹いて煙を出すのをイメージする人が多いのではないかと思います。
それは効果があるのか疑問ですが、古式銃では銃身に息を吹き込むのは重要だったりします、カッコ良い感じはしませんけどね。
まず、装填前に銃口から息を吹き込んで火口から空気が抜けて、火道がしっかり通っているか確認します。
そして撃った後は銃口から息を吹き込んで残火を出します。
火薬や不純物の燃え残りが燻っていると、火薬を装填したときに火がついてしまう可能性があるのです。
装填した火薬に火が付けば火傷などしますし、弾を入れて突き固めている間に火が付いたら弾で怪我をする可能性があります。
発射後にすぐに装填して撃つときなどは重要になりますね。
現代銃だと銃口を覗き込むのは厳禁ですが、前装銃では安全を確保するためにそのような動作が必要というわけです。
もちろん、装填してある状態で覗く気は全くしませんが・・・
今の基準では射撃場ではL形に曲がった器具でもつけて息を吹き込むと安全なのかもしれませんね。


後装銃になってからも息を吹き込むことをしている銃もありました。
銃口ではなく機関部から吹き込めばいいのですけどね。
火薬は紙や薬莢に包まれているので火が付く可能性はほぼありませんが、
銃身に紙の破片が残っていると命中率に影響が出るので吹いて出すと。
ただ、当時の後装銃の紙薬莢の使用方法はかなり差がありました。
薬室に残るのが前提で次の弾で押し出されるもの、燃えてなくなる(燃え残りが発生する可能性ありの)もの、
弾と一緒に飛んでいくもののなど。
息を吹くのが全ての銃に有効というわけではありません。  

Posted by ラスティネイル at 01:32Comments(3)古式銃(コラム)

2020年02月16日

火縄銃の口径と射程


火縄銃では大筒と呼ばれる大砲のような銃があります。
一般的に30匁から大筒と呼ばれており、
一匁が3.75gなので112.5gで、直径で25mm程度です。
侍筒と呼ばれる10匁の37.5gの18.5mm程度でも中筒扱いなのです。
10匁以下でも迫力があるので、今では大筒と呼んでいる人もいますが。
威力的には人でも馬でも10匁で十分であり、口径が大きくなっても炸薬があるわけでもなく、
城を撃っても貫通していくだけで特に効果もないので意味がないと言われてもいます。
しかし、100匁(375gの40mm程度)、一貫目(3750gの85mm程度)と非常に大口径の銃も作られています。
弾の鉛も火薬も大量に使うので、それだけメリットがあるかです。
今回は大口径ほど射程が伸びるということで文献を見てみました。

稲富流の書によると
「十匁玉は八町より外は当たりなき事」とあり、一町は約109mなので、
10匁筒で872mまでは狙えるとされていたことがわかります。
それがどれぐらい確実に当たるのか、
当てられないこともないぐらいなのかはよくわかりませんが。
また、こういう長距離の射的では大きな的を使います。
5.4m四方の幕に1.8m四方の角、直径0.9mの円をなっています。
大きな幕を用意しないとどのように外れたかもわかりませんしね。
まずは幕に入れば上出来な距離もあると思いますが。

同様に
13匁玉は9町
15匁玉は10町
18匁玉は11町
20匁玉は12町
25匁玉は13町
30匁玉は14町
35匁玉から50匁玉は15町より外は当たりなき事
となっており、口径が大きいほど射程が伸びるという考えた方があったというのがわかります。
それでも15町(1635m)あたりが限界ということでしょうか。
玉の重さが三倍になっても射程は二倍にもならない感じですね。

荻野流の書では
300匁で30町
500匁で31~32町
一貫目で32~33丁
300匁より大きいものは重くて不便なだけで射程上の利益が少ないと書かれています。
弾の重さを三倍以上にしても射程が1割伸びないのであれば、確かに重いだけです。
一貫目より大きな大筒はさらにメリットが無いでしょう。
派手さだけの演出にすぎないと。
それにしたって、30町(3270m)を本当に撃つつもりなら信じがたいことですね。
エンフィール銃だってサイトの目盛は1250ヤード(1138m)までのものが多いですから。
ちなみに、他にも割と現実的な内容や批判な内容も色々書かれており面白いです。
長距離で当てるのにまず一番大事なのは距離を測ることだとか。
木目が真っ直ぐでないない銃床は世間で見た目が良いと用いられているけど、
緩んだり、横にさけたり、小筒は台木の変形で筒が曲げられることもあるだとか。
現実的な話を書き、実用的でない内容を批判する人が書いてるとすれば、
射程の話も信じていいのかもしれません。

やたら大きな数値ばかり書いていますが、
銃も特別な大口径、射手も専門の砲術家の例外的な話だとも言えます。
一般の合戦では3町ぐらいまで近づいたところで撃ち始めるということですから、
現代の小銃が300mを基準にしているものが多いのと大して変わらないですね。
銃の性能というより、普通の人間ば肉眼で狙える限界が今も昔もそれぐらいなのかもしれません。

ついでに、なぜ大口径の方が射程が伸びるかという力学的な話も少しします。
小銃より大砲の方が射程が長いということは現代の感覚でも納得できる方が多いと思いますが。
まず、単純に断面積は径の2乗、重さは3乗なので、
大径になるほど空気抵抗のかかる断面積当たりの重さが増えて減速しにくくなります。
さらに、空気のような流体は速度が増すほど粘性抵抗が増して抵抗が大きくなります。
腕を振ってもゆっくりなら空気抵抗を感じませんが、速く降ると空気抵抗を感じると思います。
しかしながら、この速度はとは空気抵抗を受ける物体の大きさと比較されるので、
同じ速度でも大きな物体になると粘性抵抗が下がるのです。
鉛の玉で大きさが違うものを同じ速度、同じ角度で撃ちだせば大きいものの方が飛びますし、
小さい玉を高初速で撃ち出しても、空気抵抗が余計に大きくなってすぐに減速してしまい効果が薄いと。
現在の言うに長さ方向で大きい小口径高速弾なら話は別ですが。
大口径の方が無駄なく高初速にできると言っても、実際に高初速で撃ち出すのは難しいでしょうね。
そこが300匁以上で射程があまり伸びない理由のだと思います。
それよりは小さな口径でも人が持って撃つ限りは、大口径ほど初速は落ちるけど、射程は伸びるというところでしょうか。

参考文献と書くとどのように引用したか書かなければいけないようで、そこまでの手間はかけませんが、
主にこの二冊を参考にしています。
砲術 -その秘伝と達人- 安斎實著 雄山閣出版
日本武道全集 第四巻 人物住来社

コラムが一回きりにならずに済んで安心しました。
ちょっと長かったでしょうか。
今後は玉を重さで呼ぶ理由、反動と口径、焼入れについてなどを考えていますが、
古式銃についてなのか、現代銃と一緒なのかわからないものもあって悩みどころです。  

Posted by ラスティネイル at 02:03Comments(2)古式銃(コラム)

2019年11月30日

火蓋は安全装置ではない

古式銃の銃の紹介だけでなく、雑多な知識的なことも気が向いたら書いていこうと思います。


火縄銃の火蓋というとものは口薬(点火薬)が盛ってある火皿の蓋であることはご存じの方が多いでしょう。
大抵の場合は役割は安全装置と説明されることが多いです。
火挟の火が火皿の口薬に移らないように蓋しておく安全装置で、発砲前に開けて点火可能にすると。
また、安全装置であれば必ずしもなくてもいいわけですが、火縄銃では必ずあります。
そんなに火縄銃の火挟は不意に落ちてしまう危険なものなのかというところですが、
管打ち式になると和銃でも火蓋に相当する安全装置が極稀にしかありませんね。
まあ、火薬の近くに生火は怖いというのもあるのでしょうけど。

ところで、火皿には口薬が盛ってあるというのは扱いやすさに影響します。
射的の時は最後に口薬を盛って、そのまま構えて撃てばいいのですが、
戦や狩猟では口薬を盛ったまま移動しなければなりません。
いざ、撃とうという時に口薬が零れていて無くなっていたら間抜けもいいところでしょう。
そのため、撃つ直前に口薬を盛るのではなければ、口薬を零さないで移動するには火蓋が必需品です。
そう考えると火縄から守る蓋ではなく、中身の口薬が零れないようにする蓋なのです。
撃てなくするための部品ではなく、撃つための部品と思うとイメージが変わるのではないでしょうか。

さらに考えると、馬上筒を馬で走りながら撃とうと思うと、
揺れで口薬が零れないようにする必要があります。
撃つ直前に火蓋を切るにしても、馬上で揺れてると厳しいのではないかと思います。
馬上筒も馬を止めて撃つのが前提かなといった感じがしますね。
機構的には引き金を引くと同時に火蓋が開くものも作られていて、
馬で走りながらでも撃てるのではないかと思います。
ただ、普及しなかったところを見るに、その必要性が無かったのでしょう。
どうせ当たりそうにありませんしね。
安全装置も兼ねるとしたら、カラクリが動くと勝手に開いてしまう火蓋は意味が薄いですし。



フリントロックの銃は火打石が当たって火花が発生するストライクプレートというものがありますが、
これは口薬の蓋も兼ねています。
ハンマーが当たると火花を散らしながら勝手に開く便利なものです。
火蓋を切る必要が無くなるという点でも進化していというるわけです。
これなら馬上でも走りながら安心して撃てますし、火も要らないのでピストルとして携帯しやすい。
命中率が多少悪いぐらいで使いたがらないものでもないと思いますね。

ついでの、火皿から薬室まで火が伝わっていく火道というものがあります。
ここを口薬で満たすと導火線みたくなり、火が伝わるのが遅くなるので、
引き金を引いてから弾が出るまで時間がかかり当てにくくなります。
火道は空洞にしておいて、火皿に盛ってある口薬の爆炎が火道を通るようにすると一瞬で薬室まで点火するので、
当たりやすくなります。
しかしながら、火道が空洞で、火皿に口薬を盛ってある状態で移動すると、口薬が火道の方に落ちて行って火皿からなくなっていきます。
そうすると当然ながら点火しないので、移動するには口薬を満たしておく必要が出てきます。
弾を込めてすぐに撃つか、移動するかで口薬の盛り方を変えていた可能性もありますね。  

Posted by ラスティネイル at 01:08Comments(5)古式銃(コラム)