2019年11月30日
火蓋は安全装置ではない
古式銃の銃の紹介だけでなく、雑多な知識的なことも気が向いたら書いていこうと思います。


火縄銃の火蓋というとものは口薬(点火薬)が盛ってある火皿の蓋であることはご存じの方が多いでしょう。
大抵の場合は役割は安全装置と説明されることが多いです。
火挟の火が火皿の口薬に移らないように蓋しておく安全装置で、発砲前に開けて点火可能にすると。
また、安全装置であれば必ずしもなくてもいいわけですが、火縄銃では必ずあります。
そんなに火縄銃の火挟は不意に落ちてしまう危険なものなのかというところですが、
管打ち式になると和銃でも火蓋に相当する安全装置が極稀にしかありませんね。
まあ、火薬の近くに生火は怖いというのもあるのでしょうけど。
ところで、火皿には口薬が盛ってあるというのは扱いやすさに影響します。
射的の時は最後に口薬を盛って、そのまま構えて撃てばいいのですが、
戦や狩猟では口薬を盛ったまま移動しなければなりません。
いざ、撃とうという時に口薬が零れていて無くなっていたら間抜けもいいところでしょう。
そのため、撃つ直前に口薬を盛るのではなければ、口薬を零さないで移動するには火蓋が必需品です。
そう考えると火縄から守る蓋ではなく、中身の口薬が零れないようにする蓋なのです。
撃てなくするための部品ではなく、撃つための部品と思うとイメージが変わるのではないでしょうか。
さらに考えると、馬上筒を馬で走りながら撃とうと思うと、
揺れで口薬が零れないようにする必要があります。
撃つ直前に火蓋を切るにしても、馬上で揺れてると厳しいのではないかと思います。
馬上筒も馬を止めて撃つのが前提かなといった感じがしますね。
機構的には引き金を引くと同時に火蓋が開くものも作られていて、
馬で走りながらでも撃てるのではないかと思います。
ただ、普及しなかったところを見るに、その必要性が無かったのでしょう。
どうせ当たりそうにありませんしね。
安全装置も兼ねるとしたら、カラクリが動くと勝手に開いてしまう火蓋は意味が薄いですし。


フリントロックの銃は火打石が当たって火花が発生するストライクプレートというものがありますが、
これは口薬の蓋も兼ねています。
ハンマーが当たると火花を散らしながら勝手に開く便利なものです。
火蓋を切る必要が無くなるという点でも進化していというるわけです。
これなら馬上でも走りながら安心して撃てますし、火も要らないのでピストルとして携帯しやすい。
命中率が多少悪いぐらいで使いたがらないものでもないと思いますね。
ついでの、火皿から薬室まで火が伝わっていく火道というものがあります。
ここを口薬で満たすと導火線みたくなり、火が伝わるのが遅くなるので、
引き金を引いてから弾が出るまで時間がかかり当てにくくなります。
火道は空洞にしておいて、火皿に盛ってある口薬の爆炎が火道を通るようにすると一瞬で薬室まで点火するので、
当たりやすくなります。
しかしながら、火道が空洞で、火皿に口薬を盛ってある状態で移動すると、口薬が火道の方に落ちて行って火皿からなくなっていきます。
そうすると当然ながら点火しないので、移動するには口薬を満たしておく必要が出てきます。
弾を込めてすぐに撃つか、移動するかで口薬の盛り方を変えていた可能性もありますね。
火縄銃の火蓋というとものは口薬(点火薬)が盛ってある火皿の蓋であることはご存じの方が多いでしょう。
大抵の場合は役割は安全装置と説明されることが多いです。
火挟の火が火皿の口薬に移らないように蓋しておく安全装置で、発砲前に開けて点火可能にすると。
また、安全装置であれば必ずしもなくてもいいわけですが、火縄銃では必ずあります。
そんなに火縄銃の火挟は不意に落ちてしまう危険なものなのかというところですが、
管打ち式になると和銃でも火蓋に相当する安全装置が極稀にしかありませんね。
まあ、火薬の近くに生火は怖いというのもあるのでしょうけど。
ところで、火皿には口薬が盛ってあるというのは扱いやすさに影響します。
射的の時は最後に口薬を盛って、そのまま構えて撃てばいいのですが、
戦や狩猟では口薬を盛ったまま移動しなければなりません。
いざ、撃とうという時に口薬が零れていて無くなっていたら間抜けもいいところでしょう。
そのため、撃つ直前に口薬を盛るのではなければ、口薬を零さないで移動するには火蓋が必需品です。
そう考えると火縄から守る蓋ではなく、中身の口薬が零れないようにする蓋なのです。
撃てなくするための部品ではなく、撃つための部品と思うとイメージが変わるのではないでしょうか。
さらに考えると、馬上筒を馬で走りながら撃とうと思うと、
揺れで口薬が零れないようにする必要があります。
撃つ直前に火蓋を切るにしても、馬上で揺れてると厳しいのではないかと思います。
馬上筒も馬を止めて撃つのが前提かなといった感じがしますね。
機構的には引き金を引くと同時に火蓋が開くものも作られていて、
馬で走りながらでも撃てるのではないかと思います。
ただ、普及しなかったところを見るに、その必要性が無かったのでしょう。
どうせ当たりそうにありませんしね。
安全装置も兼ねるとしたら、カラクリが動くと勝手に開いてしまう火蓋は意味が薄いですし。
フリントロックの銃は火打石が当たって火花が発生するストライクプレートというものがありますが、
これは口薬の蓋も兼ねています。
ハンマーが当たると火花を散らしながら勝手に開く便利なものです。
火蓋を切る必要が無くなるという点でも進化していというるわけです。
これなら馬上でも走りながら安心して撃てますし、火も要らないのでピストルとして携帯しやすい。
命中率が多少悪いぐらいで使いたがらないものでもないと思いますね。
ついでの、火皿から薬室まで火が伝わっていく火道というものがあります。
ここを口薬で満たすと導火線みたくなり、火が伝わるのが遅くなるので、
引き金を引いてから弾が出るまで時間がかかり当てにくくなります。
火道は空洞にしておいて、火皿に盛ってある口薬の爆炎が火道を通るようにすると一瞬で薬室まで点火するので、
当たりやすくなります。
しかしながら、火道が空洞で、火皿に口薬を盛ってある状態で移動すると、口薬が火道の方に落ちて行って火皿からなくなっていきます。
そうすると当然ながら点火しないので、移動するには口薬を満たしておく必要が出てきます。
弾を込めてすぐに撃つか、移動するかで口薬の盛り方を変えていた可能性もありますね。
この記事へのコメント
火蓋に関しては漫然と安全装置と考えてましたが、必ずしもそうではないもので勉強になりました。
引き金と連動して開く火蓋を考案しても、現在の銃器にあるような引き金をロックするセフティを考案しなかったのも不思議な気がします。
装填したまま長期間持ち歩かない前提だからでしょうか。
>火道
たしか大砲を放棄するときは、ここに杭を打ち込んで使用不能にするんですよね。
現代は尾栓、閉鎖器を壊しますが。
引き金と連動して開く火蓋を考案しても、現在の銃器にあるような引き金をロックするセフティを考案しなかったのも不思議な気がします。
装填したまま長期間持ち歩かない前提だからでしょうか。
>火道
たしか大砲を放棄するときは、ここに杭を打ち込んで使用不能にするんですよね。
現代は尾栓、閉鎖器を壊しますが。
Posted by 都内在住 at 2019年11月30日 07:38
大変勉強になります!
そうなると、「戦いの火蓋を切る」は、単に戦いが始まった(のんびり安全装置を解除した)、ではなく、意味的には準備万端整えて、談判破裂しまさに一触即発の状態からの開戦、のように思えてきます。
そうなると、「戦いの火蓋を切る」は、単に戦いが始まった(のんびり安全装置を解除した)、ではなく、意味的には準備万端整えて、談判破裂しまさに一触即発の状態からの開戦、のように思えてきます。
Posted by 二式大型七面鳥
at 2019年11月30日 09:19

>都内在住さん
装填はしてても、火縄は火挟につけておかない場合が多いようです。
燃えて短くなっていくので、ちょうどいい位置を維持するのは大変です。
海外の管打ちでもそういうセフティは見ないですね。
ハンマーをロックするのはありますけど。
大砲は火道を塞ぐのですか。
確かに、砲身を塞ぐのは径が大きくて大変そうですしね。
>二式大型七面鳥さん
そうですね。
撃つ直前の非常に緊張した状態です。
現代の感覚ではちょっと理解しずらい開戦の定義かもしれません。
装填はしてても、火縄は火挟につけておかない場合が多いようです。
燃えて短くなっていくので、ちょうどいい位置を維持するのは大変です。
海外の管打ちでもそういうセフティは見ないですね。
ハンマーをロックするのはありますけど。
大砲は火道を塞ぐのですか。
確かに、砲身を塞ぐのは径が大きくて大変そうですしね。
>二式大型七面鳥さん
そうですね。
撃つ直前の非常に緊張した状態です。
現代の感覚ではちょっと理解しずらい開戦の定義かもしれません。
Posted by ラスティネイル
at 2019年12月01日 02:15

こちらの記事に関連ないのですが御教授いただけないでしょうか?
口伝では江戸初期だそうです
口径20ミリ、10匁玉使用で竹釘が使われておらず胴金ふたつで銃身が台木にとめてある火縄銃 なにか情報お持ちでしたら教えてやってください
口伝では江戸初期だそうです
口径20ミリ、10匁玉使用で竹釘が使われておらず胴金ふたつで銃身が台木にとめてある火縄銃 なにか情報お持ちでしたら教えてやってください
Posted by TD01 at 2020年01月03日 01:42
流派が知りたいということでしょうか
本当に江戸初期だと残っている数も少なく、分類するのも難しいかもしれません。
日本の武器兵器さんのホームページの火縄銃カテゴリーに火縄銃の種類と寸法という記事があり、一般的な火縄銃の流派の火縄銃の画像があってわかりやすいのではないかと思います。
前に胴金二つつけて銃身を固定するのは上浦の関流、米沢ぐらいでしょうか。
薩摩も胴金ですが基本一つですね。
例外は多々あります。
本当に江戸初期だと残っている数も少なく、分類するのも難しいかもしれません。
日本の武器兵器さんのホームページの火縄銃カテゴリーに火縄銃の種類と寸法という記事があり、一般的な火縄銃の流派の火縄銃の画像があってわかりやすいのではないかと思います。
前に胴金二つつけて銃身を固定するのは上浦の関流、米沢ぐらいでしょうか。
薩摩も胴金ですが基本一つですね。
例外は多々あります。
Posted by ラスティネイル
at 2020年01月03日 13:46
