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2022年08月30日

銃身長と弾速


銃身長の長い銃は弾速が速くて命中率も高いというのが誰でも最初はしている思い込みで、
ある程度銃身長があらば十分な初速になるし、その後はあまり加速しない、
そして命中率も特別有利にならないというのがちょっと知識を得ると知ることとなります。
しかしながら、銃身長の効果を過少評価している場合も多いと感じます。
今回は銃身長の効果を弾速で判断するのは直感的には難しいという内容です。

銃身長が長くなっても初速が上がらないのは、火薬の燃焼がとっくに終わっているからなんて言う話も良くされます。
確かに、圧力は段々下がっていくでしょう。
しかし、一度発生した圧力は温度低下をとりあえず無視して単純に考えれば、
弾の進んだ銃身内の距離が燃焼の終わった位置から2倍になっても1/2までしか下がりません。
もちろん、この場合は火薬の完全燃焼後は弾の進んだ距離と圧力が反比例するようになりますから、
本当に高いのは薬室付近だけとなる場合もありますが、銃身全体で見てマズル付近だけ極端に圧力が低いというわけでもないはずです。

仮にもっと単純化して、銃身内の圧力がずっと下がらず一定だったと考えましょう。
その場合に銃身長が2倍になると初速が2倍になるでしょうか?
初速が2倍になるとエネルギー(j、威力)が初速の二乗で4倍になります。
銃身長が2倍でエネルギーが4倍になるというのは流石におかしくて、
本当はエネルギーが2倍になるので初速は2の平方根である1.4倍ぐらいですね。
逆に考えると初速を2倍にしようと思うと、銃身長は4倍も必要になることになります、圧が下がらなくても。
初速を上げるのは案外難しいものです。

よく、このぐらい長さがあれば弾速を8割稼げるなんて言うのも、エネルギーにしたら64%だけなわけですし、
弾速が5%しか上がっていなくてもエネルギーは1割上がりますから、弾速とエネルギーではイメージがかなり変わります。
つまり、銃身長を考える時は初速ではなく、理想的状況で銃身長と比例するエネルギーで考えると、
銃身長を伸ばした効果があるのか直感的にわかりやすくなります。
初速は腔圧が変わらない環境であってすら銃身が伸びるほど上昇が鈍くなるのですから、
腔圧の低下と要素が二つになると切り分けて考えにくいです。


図1では腔圧が下がらず一定な時の弾の加速長さ(銃身長)と弾丸のエネルギーと弾速の関係をグラフにしてみました。
縦軸は最大値に対する割合で、圧力はずっと100%、エネルギーと弾速は銃口部の最高値を100%としたものです。
28インチバレル基準としています。
弾に加えられるエネルギーは力×距離なので、力(圧力)が一定なら距離に比例して増えていきます。
その銃身が長くなればなるだけエネルギーが得られる条件でさえも、
弾速を見ると最初は特別に効果があり、銃口付近では上昇が鈍って効果が無くなっているように見えてしまします。
直感的に比較しやすいのがどちらであるかは一目瞭然ではないでしょうか。


現実に銃身長の増加に対してエネルギーが増加しないのは主原因は圧力の低下です。
それを防ぐには火薬の量を増やすしかありませんが、単純に火薬量を増やすと最高圧力も上がってしまうので、
燃焼速度も落とさなければならず、現実的にはそんな調整はしていられないでしょうね。
そんな圧力の変化を考慮に入れたのが図2です。
エネルギーも弾速も上昇が鈍化していきますが、やはり弾速の方が鈍化が大きいように見えます。
これは実際のデータの値ではありませんが、イメージを得るには十分すぎるぐらいではないかと思います。
散弾銃を想定したので火薬の燃焼速度が速く、圧力の変化も大きいです。
ライフル銃や燃焼の遅い黒色火薬の前装銃などは圧力の低下がもっと緩やかなことも考えられますね。
この図では圧力は10インチぐらいまでにぐっと下がってしまっています。
逆に言うとある程度進むと圧力の低下が収まるので、エネルギーで考えると20インチから24インチにするのは効果があるけど、
24インチから28インチにするのは効果がないということにはならないはずです。
ただ、本当にエネルギーではなく弾速が欲しい場合は効果があまりにないとなりやすいですね。
弾速を上げて飛んでる目標に当てやすくとか、ドロップを小さくしたい場合だとか。

余談ですが、二つの銃身長のエネルギー(初速から換算)の差を測定できれば、
その二点の間の平均的な圧力が推測できます。
薬室での最高圧力を測るとかでなければ、少しずつ銃身を切りながら初速を測っていけば、
圧力計無しでも各部の大体の圧力がわかるわけです。
日本では銃身長を短くしていくというわけにはいきませんが。  

Posted by ラスティネイル at 23:41Comments(0)中級者のための基礎講座

2022年05月01日

人は撃たれて吹っ飛ぶか


映画などでは銃で撃たれた人間が飛んでいく描写があります。
ショットガンとかマグナムハンドガンとかで撃たれると特に。
しかしながら現実で撃たれて人が飛んでいくということはあまりないようです。
作用反作用の法則があるのだから、撃った人が吹き飛ばないのだから、撃たれた人も吹き飛ばないという話もあります。
確かに説得力がありますが、相手が細切れになるショットガンを撃って肩が細切れになったとか、スイカが弾けるマグナムハンドガンを撃って手が弾けたという話も聞きません。
では、本当に銃には人を吹き飛ばす威力がないか計算してみましょう。

私の好きなマグナムハンドガンのM29は16gの弾丸が450m/sで飛んでいき、1600Jのエネルギーになるそうです。
では、体重65kgの人が1600Jで動く速度を考えると
√1600/65X2≒7m/sで25km/hとなります。

同様に猟用の12ゲージの猟用32g装弾で初速400m/sと考えるとエネルギーは2600J
65kgで9m/s程度です。時速になおして32.4km/hとなります。
ほぼ全力疾走の速度ですね。

これらは弾丸のエネルギーがすべて人体の移動に使われた場合の速度ですが、
考え方によっては全力疾走の人に体当たりされたときのエネルギーとなります。
これは人間が吹っ飛ばされると考えても良いぐらいではないかと思います。
つまり、弾丸のエネルギーは人を飛んでいかせるのに十分な値ですが、
人体の破壊にエネルギーが使われるので移動はあまりしないと。

では、射手側の受けるエネルギーを考えてみましょう。
簡略化のため火薬の発射ガスの質量を今回は無視するのでいくらか実際のエネルギーより小さくなりますがそれで計算します。
12ゲージのM870の質量3200gだとすると弾丸の質量の100倍となります。
銃単体が跳ねあがり無しで弾丸が飛んでいく反対方向の真後ろに動くとすると、
速度比は質量比の逆数と等しいので弾速の400m/sの1/100の4m/sになります。
ここでエネルギーについて考えると重量に比例して速度の2乗にも比例するので、
質量の大きい方が重量倍されるけど速度が質量分の1になるため、結局のところエネルギーも質量比の逆数になります。
つまり、32gの弾丸を2600Jで撃ち出したM870は人の支えがないと4m/s の26Jで後ろに飛んでいくと。
26Jはそれなりに痛そうですね。

ここで人間が構えて人体の重さも銃に加算されたと考えます。
銃をガッチリ肩に押えて銃と射手が一体になると考えて、銃と上半身が合わさってキリ良く32kgだとしましょう。弾丸質量の1000倍になるわけですから、速さもエネルギーも1000分の1の0.4m/sで2.6Jとなります。
こうすると物凄い小さな値になりますね。
まあ、実際には明らかにもっと痛い反動があるので、人体は軟らかいので質量的一体感はそんなに出ないのでしょう。

作用反作用の法則で働く力は同じですが、受けるエネルギーは全然違うことが分かったと思います。
銃弾が速度変わらず相手を貫通したら、エネルギーは弾丸に残ったままですが、相手で止まってエネルギーが全部伝わったとすると、射手の受けるエネルギーとは桁違い(それこそ吹っ飛ぶほどの)のエネルギーを受けることになるのが銃の本質のようです。
射手の受けるエネルギーは銃をガッチリ保持するほど小さくもなると。
まあ、普通のライフルの場合は受け流した方が肩が痛くならずに済みますが、フルオート火器の場合は受ける反動のエネルギー自体が小さくなるので、制御しやすくなるでしょう。

本題?に戻ってエネルギーが足りているならば本当に人が吹き飛ぶ場合があるかを考えると、例えば散弾を防弾チョッキで広範囲で上手く受けて、諸々の変形ではなく移動に上手く変換出来たら飛んでいくかもしれません。
あとは、驚いた人が勝手に飛び上がった場合など。

実は前々からオートマチックの銃の動作(特にショートリコイル)はあまり理解されていないので、
感覚的ではなく数値的に説明してみたいということの導入でした。  

Posted by ラスティネイル at 01:32Comments(0)中級者のための基礎講座