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2020年02月16日

火縄銃の口径と射程

火縄銃の口径と射程
火縄銃では大筒と呼ばれる大砲のような銃があります。
一般的に30匁から大筒と呼ばれており、
一匁が3.75gなので112.5gで、直径で25mm程度です。
侍筒と呼ばれる10匁の37.5gの18.5mm程度でも中筒扱いなのです。
10匁以下でも迫力があるので、今では大筒と呼んでいる人もいますが。
威力的には人でも馬でも10匁で十分であり、口径が大きくなっても炸薬があるわけでもなく、
城を撃っても貫通していくだけで特に効果もないので意味がないと言われてもいます。
しかし、100匁(375gの40mm程度)、一貫目(3750gの85mm程度)と非常に大口径の銃も作られています。
弾の鉛も火薬も大量に使うので、それだけメリットがあるかです。
今回は大口径ほど射程が伸びるということで文献を見てみました。

稲富流の書によると
「十匁玉は八町より外は当たりなき事」とあり、一町は約109mなので、
10匁筒で872mまでは狙えるとされていたことがわかります。
それがどれぐらい確実に当たるのか、
当てられないこともないぐらいなのかはよくわかりませんが。
また、こういう長距離の射的では大きな的を使います。
5.4m四方の幕に1.8m四方の角、直径0.9mの円をなっています。
大きな幕を用意しないとどのように外れたかもわかりませんしね。
まずは幕に入れば上出来な距離もあると思いますが。

同様に
13匁玉は9町
15匁玉は10町
18匁玉は11町
20匁玉は12町
25匁玉は13町
30匁玉は14町
35匁玉から50匁玉は15町より外は当たりなき事
となっており、口径が大きいほど射程が伸びるという考えた方があったというのがわかります。
それでも15町(1635m)あたりが限界ということでしょうか。
玉の重さが三倍になっても射程は二倍にもならない感じですね。

荻野流の書では
300匁で30町
500匁で31~32町
一貫目で32~33丁
300匁より大きいものは重くて不便なだけで射程上の利益が少ないと書かれています。
弾の重さを三倍以上にしても射程が1割伸びないのであれば、確かに重いだけです。
一貫目より大きな大筒はさらにメリットが無いでしょう。
派手さだけの演出にすぎないと。
それにしたって、30町(3270m)を本当に撃つつもりなら信じがたいことですね。
エンフィール銃だってサイトの目盛は1100ヤード(990m)までのものが多いですから。
ちなみに、他にも割と現実的な内容や批判な内容も色々書かれており面白いです。
長距離で当てるのにまず一番大事なのは距離を測ることだとか。
木目が真っ直ぐでないない銃床は世間で見た目が良いと用いられているけど、
緩んだり、横にさけたり、小筒は台木の変形で筒が曲げられることもあるだとか。
現実的な話を書き、実用的でない内容を批判する人が書いてるとすれば、
射程の話も信じていいのかもしれません。

やたら大きな数値ばかり書いていますが、
銃も特別な大口径、射手も専門の砲術家の例外的な話だとも言えます。
一般の合戦では3町ぐらいまで近づいたところで撃ち始めるということですから、
現代の小銃が300mを基準にしているものが多いのと大して変わらないですね。
銃の性能というより、普通の人間ば肉眼で狙える限界が今も昔もそれぐらいなのかもしれません。

ついでに、なぜ大口径の方が射程が伸びるかという力学的な話も少しします。
小銃より大砲の方が射程が長いということは現代の感覚でも納得できる方が多いと思いますが。
まず、単純に断面積は径の2乗、重さは3乗なので、
大径になるほど空気抵抗のかかる断面積当たりの重さが増えて減速しにくくなります。
さらに、空気のような流体は速度が増すほど粘性抵抗が増して抵抗が大きくなります。
腕を振ってもゆっくりなら空気抵抗を感じませんが、速く降ると空気抵抗を感じると思います。
しかしながら、この速度はとは空気抵抗を受ける物体の大きさと比較されるので、
同じ速度でも大きな物体になると粘性抵抗が下がるのです。
鉛の玉で大きさが違うものを同じ速度、同じ角度で撃ちだせば大きいものの方が飛びますし、
小さい玉を高初速で撃ち出しても、空気抵抗が余計に大きくなってすぐに減速してしまい効果が薄いと。
現在の言うに長さ方向で大きい小口径高速弾なら話は別ですが。
大口径の方が無駄なく高初速にできると言っても、実際に高初速で撃ち出すのは難しいでしょうね。
そこが300匁以上で射程があまり伸びない理由のだと思います。
それよりは小さな口径でも人が持って撃つ限りは、大口径ほど初速は落ちるけど、射程は伸びるというところでしょうか。

参考文献と書くとどのように引用したか書かなければいけないようで、そこまでの手間はかけませんが、
主にこの二冊を参考にしています。
砲術 -その秘伝と達人- 安斎實著 雄山閣出版
日本武道全集 第四巻 人物住来社

コラムが一回きりにならずに済んで安心しました。
ちょっと長かったでしょうか。
今後は玉を重さで呼ぶ理由、反動と口径、焼入れについてなどを考えていますが、
古式銃についてなのか、現代銃と一緒なのかわからないものもあって悩みどころです。



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この記事へのコメント
大変勉強になりました。
一般的な火縄銃の射程が思ったより長いことに驚きました。
小説などでたまに100m以下でないと当たらない的な表現も見受けられるので。
当てるためには距離を知ること、というのはよくわかります。
現代では親指の爪での目分量が知られてますが、戦国時代でもおそらくは見当を付ける方法があったのでしょう。
Posted by 都内在住 at 2020年02月16日 10:27
集団ではなくて、一人の人間を狙って高確率で当てるには100mぐらいかもしれませんね。
まあ、合戦では確実に当てる事より、近づいてくる敵に早く当てることなんでしょうけど。

何か方法はあったんでしょうね。
弓の時代も距離は大事だったでしょうし。
Posted by ラスティネイルラスティネイル at 2020年02月16日 13:26
 
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