2022年04月03日
12/100丁の軍用火縄銃
四匁三分玉(口径約14mm)の軍用火縄銃です。
この銃は珍しいことに銃身が一本の目釘が前にあるのみで固定されています。
普通は2~4本で、一本というのは短筒ぐらいですね。
戦場で何かトラブルで急いで尾栓を外したいなんて時には一本だと早いでしょうけど、
それでもそんな余裕があるかはわからないです。
全般的に飾り気のないものになっています。
いつもの二匁と比較。
口径が大きい分だけ全体的に太いです。
銃身後部を揃えて並べると銃身が短く、柄が長いです。
いえ、柄の長さはこれぐらいが普通なのですけどね。
実は銃床の墨書きが購入の大きな理由の一つです。
どこかで100丁作ったうちの12丁目らしいです。
50番ぐらいまでの番号を見たことはありますが、本当に100丁作ったとなると多いですね。
しかも、みんな四匁三分玉ということなら、火縄銃はみんな口径がまちまちと言えど、
同じところに配備したものは口径を揃えていたとわかります。
まあ、そこはある意味当然ですし、銃を見るより当時の注文書を見た方がわかりやすいはずですけどね。
台師の名前はあまり見ない名前です。
銘は普通に国友で江州国友源右衛門 充胤です。
この羊羹色は刀の茎と同じで、日本のものらしい自然な色です。
銃身と尾栓にも十二とあります。
尾栓もそれなりに出来が良いです。
銃身を固定する目釘が前方に一本だとすると、銃身後部は尾栓が銃床に入っていることで固定されるのみです。
じゃあ、尾栓と銃床はピッタリなのかと言うとこれもまあまあぐらいですね。
固定される感じはありますがタイトではありません。
そもそも銃身下面は銃床の溝にしっかり当たっているので、尾栓は上に行かないようにだけしてあればいいのですけどね。
ピッタリなものを見てると他の銃にも期待してしまうのです。
目釘をなくすぐらいだから工作には自信があるのかなとか。
まあ、組み立ては大変になるのですけど。
カラクリはカニ目式の内カラクリです。
鋲がバネの固定も兼ねていますね。
面白いのが引き金の軸が珍しく金属製で、しかも穴が貫通していないので表側から抜けるようL字になっているようです。
外してみようと思いましたがなかなかきつく、無理すると銃床に傷が増えそうなのでやめました。
少なくともサイズの合った抜き治具でも作らないと上手く抜けなさそうです。
金具師の打刻は榮でしょうか。
火挟の軸を止める閂も金属製です。
本当に飾り気がないですね。
普通は火縄消しの穴(左側からの非貫通)がある位置に貫通穴(火縄通しの穴)が開いているのも独特ですね。
飾り気はないけど火縄銃としては個性が強めです。
盗人金(シア)が鉄なので、火挟の当たる部分も鉄がインサートされています。
火蓋は火皿と煙返し(後ろの板)ともピッタリで良く出来ています。
火蓋の取手の丸い形状に合わせて煙返しの下側も丸くしてあります。
照門は普通の形状です。
照星も特別ではありませんがどっしりしています。
思っていた以上に面白い銃で満足しています。
あとは一緒に作られた銃がどれだけ現存しているか気になるところですね。
Posted by ラスティネイル at 02:10│Comments(2)
│古式銃
この記事へのコメント
質実剛健そのものという感じの逸品ですね。
各部に刻まれたシリアルはルガーP08や三八式を思い起こします。
100梃造られているのなら、ギリギリ2桁くらいは残っているものかと期待したくなります。
各部に刻まれたシリアルはルガーP08や三八式を思い起こします。
100梃造られているのなら、ギリギリ2桁くらいは残っているものかと期待したくなります。
Posted by 都内在住 at 2022年04月03日 10:27
昔は火縄銃が50万丁以上あって、現存するのが4万丁ぐらいらしいので、運が良ければそれぐらい残っていますね。
番号の大きなものが残っていると面白いのですけど。
番号の大きなものが残っていると面白いのですけど。
Posted by ラスティネイル
at 2022年04月03日 18:39
