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2021年05月03日

八分玉の伊予筒

八分玉の伊予筒
八分玉の伊予筒
八分玉(口径8mm弱)の伊予筒を入手しました。
久々に大満足の一丁です。
好みに合って、作りが良く、状態も良い買える値段の火縄銃というのもなかなか見つからないです。
まあ、作りや状態に関してはお金があれば割とどうにでもなるでしょうけどね。
実のところ伊予筒の華奢な感じは口径の大きいものだとあまり好きでないのですが、
これぐらい小口径だと気になりませんね。

八分玉の伊予筒
上、三匁軍用筒
中、三分玉射的筒
下、今回の八分玉射的筒。
八分玉でも三分玉のと同じぐらい華奢ですね。
火縄銃の研究としては一般的な軍用銃の3匁以上のものを手に入れたり撃ったりしてみるべきなんでしょうけど、
どうしても好みの射的筒を買った方が満足度が高いですね。
しかし、こういう極端に口径の小さなものは単純に射的筒というよりは、
屋敷の庭で撃つとか、小動物の狩猟にとか、子供用だとか特別な理由があって小口径なのかもしれません。

八分玉の伊予筒
BB弾と比べれば大きな口径ですね。
柑子は無くても銃口に向けて少し太くなっていっています。

八分玉の伊予筒
カルカは先端に金属で補強があったようですが、紛失しています。
真鍮ででも作らないと。
火縄銃は現在の口径が作られた当時より大きくなっている可能性がありますが、
カルカが6.7mmあるので、それよりは大きかったのでしょう。

八分玉の伊予筒
薬室部に関しては下の三分玉のより細いです。
強度的には十分と言いますか、三分玉のが必要以上に厚いのですが。
細い芯金に厚い鉄を巻いていくのも大変そうですが、あんまり細いと単純に曲げとかにも弱くなりますね。

八分玉の伊予筒
八分玉の伊予筒
持ち手の部分も非常に華奢です。
飾りはほぼありませんが、輪になっている引き金が特徴ですね。

八分玉の伊予筒
八分玉の伊予筒
八分玉の伊予筒
カラクリは平カラクリです。
信頼性があまり高くないので他のカラクリの方が好きですが、
火挟と盗人金が鉄で出来ていて摩耗には強そうなので構わないかなといったところ。
火挟の上がる量が小さいのも射的用だからでしょうか。
火道の状態も問題ないです。

八分玉の伊予筒
八分玉の伊予筒
真鍮部品が黒く塗られていて、木部にも色がついているので落とせるか心配だったのですが、
カラクリの下部分を濡れた布で拭いてみて落とせました。
元の仕上げがあったので木まで染み込まなかったようです。
ただ、元の仕上げも少し落ちて、木の地が一部出てしまったので、
完全に黒いのを落とすのは仕上げ直しの方法を決めてからにしようと思います。

八分玉の伊予筒
購入時は尾栓が開くとのことでしたは、銃床を外すだけでも大変でした。
銃身の錆が食い込んでいたのでしょうか。
銃床も細いので無理をしたら折れそうな感じでした。
銃身が細いのに銃床だけ太いと、銃床が湿度変化などで曲がったときに銃身を曲げてしまうのでバランス上仕方がないのでしょうけど。
結局は折れないように道具で外しました。
尾栓を抜いてみてなんかないなとすぐにわかりますね。
まあ、専門家ではないようなので尾栓と火蓋でも間違えたのでしょう。

八分玉の伊予筒
八分玉の伊予筒
八分玉の伊予筒
銃身を外すと下側だけ大きく同じような間隔で錆びています。
これは巻いてある鉄の錆びやすさから来るのでしょうね。
錆びている部分が窪んでいる部部もあるので、しばらく前に誰か錆を落としていて、
それからまら錆びた感じです。

八分玉の伊予筒
八分玉の伊予筒
銘のところだけは錆が落ちているので、登録のときに読めるように落とされたのでしょうか。
巻張が書いてある部分は錆びていました。
もしくは、薬室周りだけ何故か錆びなかったのかもしれません。
錆による窪みもありませんし、薬室付近は作りか材質が違う?

八分玉の伊予筒
ある程度錆を落としましたが、画像ではわからないですね。

八分玉の伊予筒
一円玉の径より細いような銃身に銘が切ってあります。
地鐵惣巻張となっているので、銃身全体がに巻いてあるのでしょう。

八分玉の伊予筒
豫州住となっているので、作られたのも伊予国だとわかります。

八分玉の伊予筒
牧野徹五朗源知方作(花押)となっています。
狭いスペースに関わらず、この銘はかなり上手いですね。
線が太く、止めや払いなど筆で書いたような形状が再現されています。
直線部もわずかに曲線にしてあったり、太さが一定じゃなかったり高い技術を感じます。
銘は銃の性能には関係ありませんが、打点を繋げたようなのや、引っ搔いたようなのと比べたら見た目が全然違います。
鉄砲鍛冶本人ではなく、銘を切る専門家が切っていると鉄砲鍛冶の技能は全く関係ないのですけどね。

八分玉の伊予筒
八分玉の伊予筒
八分玉の伊予筒
花押なんて最後の線が左右の面にはみ出ています。
これもやりやすいとは言えなさそうですが、このバランスが最適だと思ったのでしょうね。

八分玉の伊予筒
他の火縄銃の銘と比較です。
お気に入りの三分玉の射的筒は無銘で誰が作ったのかわからないのだけが残念に思っていますが、
逆にこれだけ銘が良いと思えるものも珍しいです。

八分玉の伊予筒
ここには新と二が切ってあります。

八分玉の伊予筒
銃床にも新と書いてあります。

八分玉の伊予筒
火蓋、雨覆、楔には二とあります。
しかし、カラクリには何も目印がありませんでした。

八分玉の伊予筒
尾栓は頭の上の面だけに目印なのか栓が入っていました。

八分玉の伊予筒
八分玉の伊予筒
それなりに苦労しましたが、細い尾栓もちゃんと抜けました。
素晴らしいというほどの状態でもありませんが、間違いなく出来は良い方でしょう。
製作当初はもっと良かったのか、こんなものだったのかが気になるところです。
多少傷んでいるのは確実ですけどね。
ネジは細くても長さは通常の火縄銃と同じぐらいあります。

射的筒ばかりというのも情けない話ですが、やっぱりいいですね。
侍筒も眺めたり、写真で見る分には格好良く、火縄銃ならではな部分もあるのですが、
格好良く扱うには人間の方を鍛えないとならないようで。
口径は通常の三匁~五匁くらいなのに、十匁くらいの重さがある肉厚な銃身の侍筒?も興味があるのですけどね。
火薬を弾の重さの倍ぐらいの重さの量を入れて撃てるようなやつです。
長銃身より初速が高くなるのではないかと思います。
どちらにしろ重そうですが、リコイルは小さくて済みそうです。




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Posted by ラスティネイル at 03:42│Comments(4)古式銃
この記事へのコメント
細長い銃ですね。
まるで三八式あたりの軍用小銃かと思うような。
屋敷の庭で、子供の射的用等とのことですが、大身の武家のおてんば娘がたすき掛けで的板を撃ち抜く様を想像しましたw

それにしも、銃床が太すぎるとその狂いが銃身にまで影響を及ぼすというのは存じませんでした。
ドイツのモーゼルライフルが合板製ストックなのは木材資源節約のためともっぱら聞きますが、狂いへの対策もあったのではと考えました。
非常に勉強になりました。
Posted by 都内在住 at 2021年05月03日 10:06
三八式も当時の小銃としては小口径ですね。
戦国時代は姫が女性鉄砲隊を率いるなんてこともあったようですが、平和な世では火の粉での火傷などを嫌ってか廃れたみたいです。
威力は女子供でも変わらないのが鉄砲のメリットですよね。

そうですね、合板は実用的ですね。
見た目の高級感の問題は好みが分かれるものの。
Posted by ラスティネイルラスティネイル at 2021年05月03日 23:40
実にキレのある銘ですね、すばらしい。

当方が子供の頃、「知られざる世界」という日曜夜10時頃からのテレビ番組で、火縄銃を再現するという回があって、心棒に鉄を巻き立てて行くのを興味深く見、またよく覚えてます。
刀鍛冶にやってもらってたと記憶してますが、「心棒ない方が巻きやすい」とおっしゃってたのが印象的で。
#心棒に板を巻いてパイプにして、その外に細い鉄をさらに螺旋に撒いていく、という製法だったと記憶してます。それを八角にヤスリで仕上げるのもまた手間のかかる仕上げだなと感心してみてた記憶があります。
尾栓も三角の紙を巻いて螺旋を刻むとか、バレルの内側を一部削った棒にヤスリ状のものを挟んで回しながら通して仕上げるとか、どこかにビデオが残ってないかと、この回だけは本当にもう一度見たいです。
クリーニングロッドを通す穴を空けるのも、ものすごい技術ですよね……
Posted by 二式大型七面鳥二式大型七面鳥 at 2021年05月21日 09:17
確か関西の方が再現製作を行ったと聞いたことはありますが、テレビ番組にもなっているとわかりやすそうでいいですね。
私も見てみたいところ。

銃身の八角形は鉄砲鍛冶が八角形にするのではないかと最近思っています。
削るより鍛造の方が形を作るのは簡単ですし、そもそも良く接合するため叩くのに八角形は丸より基準が出しやすそうです。

銃床の穴は本当に難しそうです。
Posted by ラスティネイルラスティネイル at 2021年05月23日 00:00
 
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