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2021年06月08日

多分、良い買い物

ずっと前からシカゴレジメンタルスのHPに載っていた税込み8.8万円の火縄銃が気になっていて、
3月に東京に行く用事のついでに見に行ったら軽井沢倉庫保管とのことでした。
HPを良く見ないといけないですね。
そのあと、3月末に東京店に移したと連絡をいただき、すぐに他の火縄銃の値下げと共に6.6万円になっていました。
欲しいと言っている人間がいても値下げはするんですね。
シカゴで一番安い古式銃じゃないかと思いつつ、一部特徴が気になっていたので現物を確認したいと思っていました。
先週の土曜日に東京に行く機会があったのでそれを見たいと来店予約して行きましたが、
残念ながら画像ではそう見えた特徴が実物ではなかったので購入を断念。
状態は悪くても、銃身の巻張の様子が見える面白い銃ではあったんですが。


そして、一階で他の銃を見せてもらっていて、この無銘の火縄銃を見た瞬間に欲しいと思い、値段を見ると4.4万円。
まだ入荷したばかりで手入れをする予定だったようですが、値段がついていれば売れるということで売ってもらいました。
6.6万円の銃を見に行って4.4万円の銃を購入とは、とにかく安い銃を探して買っているようで少し恥ずかしいですね。
銃を色々見せてもらってそれではちょっと申し訳ないですが、過去にもうちょっと高いピストルも買っているので許してもらいましょう。
ちなみに、他所で2万円の火縄銃を買ったのが今までの古式銃購入の最安値です。




さすがに、この値段だからか、火挟、弾き金、火蓋に雨覆と金具がみんな後で付けられた本来と違うものです。
それでも欠品ではなく、これだけ揃っているという点では立派ですが。
火皿自体も前が上を向いて傾いてることから補修品ですね。
銃床の銃身真後ろの上部も割れています。


引き金の穴の部分の板も外れています。
こんな部分や銃床の割れはシカゴさんで多少補修予定だったのかもしれませんね。
カラクリを止める鋲が無く、縛って固定したような痕が銃床にくっきりついています。



目釘や鋲の穴周りの金具もありませんが、丸いだけなので作りやすそうですね。


そんな状態の悪い火縄銃を以前載せた在銘の伊予筒(上)と比較するとこんな感じです。
驚くほどサイズが近いです。


今回の無銘の銃床に在銘の銃身を入れて見ました。
元の銃身を同じぐらいのちょっと抜きにくいぐらいの固さで入りました。


雨覆を銃床の切り欠きの形もピッタリですね、後作のいい加減なのと違って。
火皿の下に隙間が空いてしまっているのは、銃床を削ってありますね。


目釘の位置もほぼ同じです。


カラクリ周りは後から適当に作られているからか、形が全然違いますね。




照準周りもほぼ同じです。
まあ、在銘の方が照星が銀で、無銘の方は鉄(でも別部品)だったりはしますが。



銃身のサイズは同じですが、細かなところで別な人が作ったとわかる感じはありますね。

恐らく、この銃は元々同じ仕様ではありますが、別な人が別な時期に別な相手に向けて作っていると思います。
当時の流派によっては設計図といいますか、諸元が口径ごとに決まっていました。
銃身だけでも銃身長さ、元の外径、先端の外径、腰(一番細いところ)の径、それぞれの照準の前後位置と高さやその他諸々。
なんせ、教本で口径によって距離ごとの構え方、火薬量、照準の角度の付け方などが書いてあるわけですが、
銃の仕様が違っていては、変化の仕方が変わって成り立たないわけです。
砲術は大変物理的というか数学的というか、経験に基づいてにしろ、そういう理屈による世界だったわけです。
当時、様々な流派があって、各口径があって、とんでもない数の銃があった一部が残っているのを見ると、
同じ仕様の銃なんて同時に注文された揃いのものしかないように見えます。
ですが、もしかすると当時はこの2丁のように仕様がほぼ同じ火縄銃が作られていたのかもしれません。



それにしても状態が悪いですね。
妙に浮いている尾栓も本物だろうかと思いつつ、浮いているとハンマーで叩けば錆が崩れやすく、
外しやすいので外してみることにしました。


まずは外側に錆を取ると、尾栓の頭の上側に一本の線が見えます。
在銘のにもあるところを見るとオリジナルでしょうか。



抜いてみるとネジが短い。
折れた感じもしなかったのにと銃身内を見ると、ネジは残っていなく。
このネジはテーパーがきつくてそんなに長く出来そうにないですし、
銃身側のメネジも同じぐらいしか長さがない。
つまり、火縄から管打ちに改造された、見た目を良くするためにいい加減に火縄に戻されていると。
だから金具類もオリジナルではないんですね。
シカゴさんも一度管打ちにされていると見抜いてこの値段だったら凄いですけどね。
ちょっとがっかりです。
それにしても、戦闘には使えないような小口径で管打ち改造とは珍しい。

この銃が火縄銃として撃てるようになれば、同じ仕様で状態の良い在銘の方は撃たずに大事にできると思ったのですがそうもいかず。
綺麗な気にっている銃を撃てるのも楽しいですが、射撃練習で傷むなら状態の悪いものが気楽ですからね。
どうせ変に手を加えられた価値のないものだと思って、どんどん修復していっても良いですが、
それはそれで結構な手間がかかりそうです。
それでも満足のいく買い物でした。  

Posted by ラスティネイル at 01:38Comments(0)古式銃