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2023年06月11日

古式銃砲鑑定の手引

古式銃砲鑑定の手引
文化庁の古式銃砲鑑定の手引を入手しました。
昭和54年の古いものですけどね。
これは所荘吉氏の執筆したもので、公開用に作られたものではないから著作権は有効でしょうから内容はそのまま載せられませんね。

古式銃はセンターファイヤーやリムファイヤーの銃が登録できるのかどうかというのが良く論点になりますね。
紙薬包式は機構上は現代銃と同じセンターファイヤーやリムファイヤーであって、
黒色火薬の時代であるか口径10mm以上の物がほとんどであるというような記述があります。
紙薬包式は登録できるが機構的には現代銃と区別が難しいので個々の銃種について知識を持つ以外ないと。
おおむね慶応三年までに我が国に伝来した記録を持つ銃砲を挙げてみるとして以下の銃が列記されていました。

1866年式アルビニー銃、ホスベリー銃、18654年式スプリングフィールド銃、1866年式ウエンデル銃、スナイドル銃、
1860年式マッチュース銃、1860年式スペンサー銃、1858年式スタール銃、
1864年式レミントン銃、1861年式バラード銃、1862式ピーボディ銃、バラー銃、
1860年式ヘンリー銃、1866年式ウインチェスター銃、ボルカニック銃、
1862年式ドライゼ銃、1857年式パール銃、1864年式シヤスポー銃、1863年式パルマー銃、
1859年式シャープス・ハンキン銃、1867年式ウエルンドル銃、
1864年式トリフレット銃、1859年式カッドラー銃、1849年式デクソン銃

流れ的には登録できる銃の列記ですが直接はそう書いておらず、かつ、これらは実際に登録されている銃ですね。
うちにはスナイドル銃とピーボディ銃があります。
値段は置いといて流通しているのは他にアルビニー銃、マンソー銃、スペンサー銃、スタール銃、レミントン銃、ヘンリー銃、ウインチェスター銃ぐらいでしょうか。
稀にこれらの銃が種別リムファイヤーと登録証に記載されていることがありますが、大抵は管打ち式銃砲か紙薬包式銃砲としての登録ですね。
銃砲刀剣類登録規則によると登録できるのは以下のいずれか
一 火縄式、火打ち石式、管打ち式、紙薬包式又はピン打ち式(かに目式)の銃砲で、形状、象嵌がん、彫り物等に美しさが認められるもの又は資料として価値のあるもの
二 前号に掲げるものに準ずる銃砲で骨とう品として価値のあるもの(明治十九年以降実用に供せられている実包を使用できるものを除く。)
となっていてリムファイヤーというのは無いので、縄式、火打ち石式、管打ち式、紙薬包式又はピン打ち式(かに目式)のどれかに準ずる鉄砲としての登録が基本なのではないかと思います。
気砲も気砲という項目がないので全然違う火縄銃に準ずるものとして登録されたり、ちゃんと気砲と書いてあったり。
他にピルロック、メーナード、デスクプライマーなど管を使わない管打ち式登録も多いですね。
まあ、明治19年以降に実用に供せられている実包を使用できなければ、準ずる鉄砲として審査員の裁量で何でも登録出来てしまうとも言えます。
昔はやり過ぎてしまって警察に目をつけられたわけでもありますが。
それとスナイドル銃は恐ろしいことに明治十九年どころか太平洋戦争でも使われそうな勢いでしたが、紙薬包方式なので登録対象ですね。

他にライフルであって口径10ミリ以下の物は現代銃の可能性が高く注意。
ライフリングの無い散弾銃は登録の対象にならないという記述もあります。
散弾銃は規格が変わってなさそうですからね。
ここに列記されていませんがマルチニーヘンリー銃も登録されているのを見かけます。
わりと新しい銃ですが日本軍の海兵隊でも使用された日本の歴史と関りが深く資料性が大会ですし、口径も大きくて現代銃と違いますからね。
他に割と現代銃に近い銃でも、登録においては危険度と文化的価値を比較して審査員が自信をもって登録と言えば特別に登録される場合があります。
同じ機種はみんな落とされるけど、歴史上の人物が関わったなど来歴がはっきりしていて文化的価値が高いものなど。

拳銃としては他にボルカニック拳銃、ドライゼ拳銃、隠倉拳銃などが挙げられています。
しかし、警察は拳銃が嫌いなのでボルカニック拳銃は現代実包が撃てるとみなせるみたいです。
あれは弾丸の中に発射薬と発火薬があって薬莢すら用いないものですが、アダプターなどで現代実包を装填すれば撃てると。
ドライゼ拳銃もニードルファイヤーであって同じようにすれば現代実包を撃てますが、
オリジナルが純粋な紙薬包式なので法律上明記された登録可能なものであると。
上に列記してある小銃も同じ構造の拳銃タイプがあるものがあり、見つければ登録証があっても押収して教育委員会で再審査に出し、
登録可能となれば返却ですが、登録不可な銃と言われれば現代実包可能な拳銃であるとするようです。
法律上は正規に登録された銃は所持が合法ですから、不法所持になることはありませんが取り消されたら持ち続けられません。
なお、一度取り消されても裁判をやって勝って所持し続けている人もいるようです。
法律に登録を抹消することに関する内容も無いようですし。

警察とトラブルになると教育委員会がトラブルを嫌い、
押収された銃は全長、銃身長、口径の同じよく似た銃にすり替えられているとする場合があるようです。
昔は洋式銃は無銘扱いで刻印なども記録されていないので、同じ銃であると証明が難しいと。
本当はすり替えられていると言う方が違う銃である証拠を出すべきなのでしょうが、登録の不確かさを当の教育委員会が利用すると。
昔は自身で登録した人も多かったりして銃が入れ替わっていないと主張しやすかったのですが、
登録の制度が始まって年月も経ち、登録申請した人も審査員も存命でないことが多くなってきました。
今では画像を撮りながら登録していたりして安心ですね。

他に面白いのは変装銃砲に関する記述ですね。
変装銃砲として煙管鉄砲、脇差鉄砲、ステッキ銃など外観上銃砲であると認められないものは登録できない。
何らかの方法によって明らかに銃砲と確認される状態に置かれることを条件として登録できる。
脇差鉄砲なら常に鞘から出して保管しておくなど。

これは仕込み杖についても杖型の鞘から出せばただの返りの小さな刀なので、
白鞘で保管することとなっているのと同じですね。
基本は文化財として保存したいという方針なわけです。
なので、登録された変装銃砲をお持ちの方は銃砲とわかる状態で保存してください。


古式銃砲鑑定の手引は古いものですし、私の私見の内容も外れている場合もあると思います。
そもそも登録は県や審査員によっての差が大きいので運によるものが・・・



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Posted by ラスティネイル at 01:25│Comments(0)古式銃
 
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