2019年08月15日
2丁目の穴照準の火縄銃
これももう手放してしまいましたが、穴照準の田付流です。
以前の田付流(上)と比べても、
各部の長さや位置が非常に近いので、田付流の中でもかなり近い系統だとわかります。
小銃の位置や目釘穴の位置まで同じです。
口径は今回のが1.4cmで、前回のが1.2cmなのでそこはサイズが違いますけどね。
前回のは柑子と奇妙な用心金が付いています。
カラクリ周りの形状も非常に似ています。
地板の後部が丸い特徴や引き金の固いもあまり多くはない特徴ですが同じですね。
今回のは引き金の軸の穴にも補強の金具がありますね。
目釘のも含めて金具の大きさはかなり大人し目です。
同じような元目当で、どちらも薬室上には免許銃 岐阜縣とあります。
相変わらず刻字はまともに読めない。
銘は今回の左のが江州国友藤太夫 征秀に対して、
前回のものの銘は江州国友藤太夫 正知です。
別人ですけど近いところなのでしょう。
台師は今回が大嶋吉兵衛定昌で、
前回のものは大嶋吉兵衛甫です。
これも近いですね。
口径の違いで銃床も今回のものの方が太いです。
また、今回のもの木目が複雑で目の詰まった(密度の高い)良い木で、
前回のものは木目が真っすぐでちょっと木としては安い感じなのですが、
経年のにより複雑な木目は割れが発生しやすく、ヒビが入ってしまっています。
まあ、木目が真っすぐだと割れるときは一気に折れたりもしますが、
良い虎目の銃床何か所もヒビが入り、良く繋がってるなと感心しつつ泣きたくなるような銃もありますね。
今回の銃の銃床に前回の銃の銃身を入れると口径の違いによる銃身の太さ分の隙間ができます。
照星は柑子の有無で高さが違って見えますね。
白月清風の銀象嵌。
象嵌は個人で持つものに趣味で入れる場合だけでなく、
軍用銃として同じ形がたくさんあるときに、区別のために入れる場合もあるようですね。
四文字も入れてると所有者の趣味だと思いますが。
この銃の前回のと違うところは中目当らしきものが付いているのが大きいですね。
一つは中目当なのか紐通しなのかよくわかりませんが、
これらが最初か付いててのか、後から付けたのか、
輪っかもどのタイミングなのかイマイチわかりません。
そして、中目当があるので元目当の穴から先目当が見えません。
前回の銃も
先目当が見えても的は見えませんでしたが、ピープサイトとして使うものなのかどうか余計にわからなくなりました。
日本の狙い方だとこういう狙い方もあります。
元目当の溝と先目当の穴を合わせると銃身が上に向きます。
この状態で先目当を的に合わせると、距離の離れた的を狙うことができます。
二つの中目当と元目当で合わせるとこんな感じです。
かなり長距離まで行けどそうな感じでしょうか。
照尺なんてなくても長距離射撃ができる素晴らしい工夫ではあるのですが、
目当から目の距離で角度が変わるので、目の位置は毎回合わせなければなりません。
まあ、同じ人が普通に使えば、毎回大体同じ位置でしょうけど。
盗人金が鉄で、火挟の盗人金と当たる部分に鉄がつけれれてるのも前回のと同様です。
今回のはちょっと薄い鉄でわかりにくいですが。
今回のは地鐵鍛身と立派な銘が入っていて、鉄の質もちょっと良さそうです。
どのように作らられているかはわからないですけどね。
磨師に磨いてもらえば見えてくるのかななんて思うことも。
この銃も状態がとても良いとは言えませんが、
形状がしっかりしていると見ていて気分がいいですね。
尾栓は角がしっかりしていると開けやすい反面、
自分で形を悪くしてしまうわけにいかないので神経を使います。
形が崩れているのはある意味気楽な尾栓です。
尾栓と銃身の回転位置を合わせるマークが入っています。
火縄銃ではあまり見ないですね。
尾栓に文字が入ってる銃も結構あるようですが、
そんなの関係ないぐらい尾栓が変形して潰れてしまっている銃も多いですよね。
カラクリの作りも前回のとほぼ同様ですね。
金具師の刻印は菱形に「延」でしょうか。
前回のは読めませんでしたが、あまり近い感じはないですね。
まあ、ちゃんとした名前じゃないので、近い系統なら似たものになるのかどうかもわかりません。
銃身、銃床、カラクリすべてに銘があるとちょっと得した気分になりますね。
購入前にカラクリを外すなんてことはあまりないので、
表に刻印のあるカラクリ以外は、買って分解するまでわかりません。
先目当だけ穴照準で、元目当に穴がないような銃もあるのでしょうか。
逆に、元目当だけ穴照準の物も。
器具を使うだとか、製造時の都合なんて言う可能性も無きにしも非ずでしょうか。