2023年08月19日
KTW製タネガシマ 火縄銃
KTW製のタネガシマを購入しました。
火縄銃のエアガンとして唯一のモデルアップですね。
命中率が高いといつ点でも高い評価を得ているエアガンです。
もっとも、火縄銃を見慣れてると見た目がパッと見でおかしいので買う気はなかったのですが、
真剣な射撃練習を始めたもののでドライファイアばかりだと寂しいと思っていたところに中古で売りに出ていたので買ってみました。
まず、銃身が目釘(筌)タイプでバンドを使わないような銃なのにバンドがついています。
その代わり、目釘穴はないので整合性は取れていると言えばそうですが。
実物でも1/100とかもっと低い割合でバンドタイプがあるかもしれません。
ここだけで見た目としての再現度が低く感じる部分です。
これが映画の小道具や資料に使われると一般的な火縄銃に対する認識が狂うわけですし。
カラクリ周りは割とそれっぽく出来ています。
全体的に丸みが少なくて、角形状に面取りみたいな形なのは機械加工がメインだと仕方がないのでしょうね。
新しいロットは亜鉛の鋳造みたいなので丸くして良かったのではないかと思いますが、そのままの形状のようです。
銃口付近も銃床との隙間は気になりますが、まあまあな形。
八角部分と丸い部分の繋がり方はおかしいですけどね。
しかし、この柑子(マズル部)がカタカタという程ガタがあります。
フロントサイトも乗っているのに。
分解してみるとイモネジが緩んでいたのですが、締めてもガタが無くなりませんでした。
これはイモネジ先端で押し付けるようになっていないので、構造的に締めてもガタが無くなりません。
外観として丸いテーパー部と八角の部分に段があるのはおかしいですし、
そのままテーパーを八角部まで伸ばしてしまった方が作りやすいはずなのですが。
そして、フロントサイトもはみ出る接着剤・・・
カルカは給弾機構になっています。
昔からエアガンであるタイプのチューブ式マガジンですね。
しかし、鉄のピンが入り込む溝が木部ってのはいただけないです。
せめて、ピンをもう少し大きくしても良いような。
コッキングは下面のレバーを起こしてから後ろに引きます。
レバーアクションというよりは、起倒式ハンドルのストレートプルです。
問題はレバーが後ろにある状態で前に押すと倒れてしまうこと。
二本の指で摘まむようにするか、起こす方向に力を掛けながら前に戻さなければなりません。
レバーのロック機構とか、スプリングでレバーが前に戻るようにだとか欲しいところ。
ちょっと要求がうるさいでしょうか。
コッキングの重さは軽くて良いです。
リアサイトは接着剤が派手にはみ出ていて、取れちゃったから前のユーザーが接着して直したのかと思いました。
しかしながら、雨覆の横も接着剤が光っているのでそういことなのかと、
ネットで他の個体の画像を探すと、やっぱり接着剤が・・・
雨覆を固定する楔が銃身と一体で黒くなっているので、塗り分けに失敗したような見た目です。
銃身後部と銃床に隙間があります。
バネとバンドの間が隙間がやたらありますね。
バネについてる疣隠しが外側に少し出っ張っているのも不思議なところ。
特に工作の都合で出っ張ってしまうとも思えないのですが。
リアサイト内には弾が給弾ルートからシリンダー側に行かないようにするプランジャーのネジが、
その前にホップ調整用のイモネジが。
プランジャーのネジが外に見えてる必要あります?
ちなみに、リアサイトの溝は幅が広く、深いので見やすいです。
画像の比較用の火縄銃はこれでも溝が大きい方です。
火縄銃の射撃練習に使うなら、溝を小さくして見にくいのに慣れるようにしないとなりませんね。
本物の方の溝を広げるのはダメです。
火挟の後ろの方の上面に蛭咥やカニ目(シア)がかかる溝が再現されいます。
しかし、もうちょっと前の疣隠しで隠れる部分にあるはずのものを、
無くてもいいのに何でわざわざ別の場所に入れてしまうのか。
この溝が見えると、溝に蛭咥やカニ目がかかっていない(存在しない)のも見えてしまいますしね。
流派が近い銃と一緒に。
横から見ると良く出来て見えますね。
吊り輪を付ける金具が用心金固定の部品を合わさっているのは不思議な感じ。
引き金の上の穴が一個足りませんね。
鋲が入るのではなく、カラクリの地板を押してカラクリを外すための穴。
機能上必要なないので省略でしょうか。
後ろの方の火消し穴はあっても無くてもおかしくないです。
上から見ると火挟の軸を固定する矢倉鋲がありませんね。
これも非常に稀に無いものがありますけどね。
銃床の三次元的な加工が難しいからか、面の数が少なくて、角だけ丸めてあるような感じですね。
銃尻の形状がどうのは置いておくとして、芝引きの金具は木が掘り込まれておらず出っ張っていますね。
さらに鋲も出っ張ているので、下手なところに置く床も傷付きそう。
金具が無いタイプもあるので、無理に付けない方が良かったのでは。
影になってしまって見にくいですが、火鋏と雨覆の間に謎の隙間が。
本来は雨覆に一部が入り込んでいくぐらいなのですけどね。
比較用のは火蓋を止める鋲が無い状態ですが位置関係は合っています。
数発撃ったら、火挟がロックされなくなりました。、中古だから総発射数はわかりませんが。
分解してみると火挟用のシアを止めるネジが外れていました。
ネジ部が短いネジ(全ネジでない)でしたので、メネジに入らなくなるまで締めてもシアの動きに影響が無かったので、
きつめに締めておきました。
このキックバネは無くても良いようなバネですが、
軸方向の動きの制限がないのでいつ抜けてもおかしくないような。
シアに差し込まれている部分を長めにしておいて折り曲げてでもあればいいのですけどね。
メカの動き。
引き金で板を引くのではなく押すようになっていて実銃の逆ですね。
それ自体は良いのですが、引き金の軸がカラクリの上から下になったので、
引き金がやけに大きな角度で回転します。
そして、キレが恐ろしく悪いです。
6mmぐらい引かないとシアが落ちないです、遊びは含めずに。
引っ掛かりはなく、ぬるっとした感じでむしろ引いていくと軽くなっていくような。
今までに経験のない新感覚トリガーです。
実際のシアを押す部分まで遠いというのもあるのでしょうけど、それにしても・・・
銃身を外すとバンド部で分かれていて3分割だとわかります。
それで繋ぎ目を隠すのにバンドが必要だったのでしょうか。
銃床が一体なのは個人的に非常にポイントが高いです。
ブナ材オイル仕上げを高級品のように主張していますが、火縄銃は基本的に樫で透き漆です。
それ自体に特にこだわる気はないのですが、良いぞって言われると、リアルウッドだねってぐらいの気持ちです。
しかし、前の繋ぎ目で銃身の剛性が低くてグニャグニャ(カタカタ?)です。
それで当たるのだからすごいですね。
ちなみに、後ろ2ピースはテーパーが付いていて、前の1ピースはテーパーなしです。
本物だと一度細くなってからまた広がっていく形状なので、
テーパーの割合が変わると割とそのように見えますし、コスト的にも安く済むので良い判断だと思います。
銃身の接合部はこんな感じです。
ネジの順序は間違えました。
これでは剛性は期待できないですね。
銃身下はアルミのアングル材がトリガーメカ用のフレーム代わりです。
これはコストダウンのための結構な英断ではないでしょうか。
どうせなら先端まで伸ばしてバレルを支えるブリッジにしてもらえれば尚よかったのですが。
シア軸の通る穴の耐久性は若干心配。
あと、バリがそのまま。
コッキング用のレバーはシリンダーの直接ついていましたか。
シリンダーのパイプに板が付いているのはKTWでは初期イサカもそうだったような。
チャンバーも単純な感じですが、命中率は高いので凄いですね。
レバーが倒れた状態で固定されるのは磁力によりですね。
KTWでは実物のモデルがあって製作したという話だっと思います。
コストや製作上の都合で外観がリアルでなくなるのは仕方がないですが、
単純に寸法関係がおかしいみたいなのは拘りが足りずに残念ですね。
非常に趣味性の高い商品だけに。
バレル周りを見ると30年前のエアガンなのだろうかみたいな感じですし、
機能的作り込みが甘いのはエアガンとして残念。
定価が税別で118000円で税込み13万円近い品です。
ガレージキットみたいな作りやコストパフォーマンスに感じる部分さえあります。
これがメーカー製の高級品だと思うと、良しとして売っているのが信じられないところが箇所がありますね。
むしろ、この値段ならコストのためと言っているところも解決してても良いぐらいです、
KTWのメーカー規模って微妙なところなんですよね。
しかしながら、何と言おうと火縄銃のエアガンが欲しければこれしかないです。
KTWはM70のスーパーグレードを気に入っていて、これがあれば他の現代ボルトアクションは要らないとさえ思っています。
銃床のチェッカーリングの工作だけは駄目ですが、他は本当に仕上げりが良い。
タネガシマ見てるとそれが韓国ドンサン社のおかげではないかって思えてくるのが少し寂しいですね。
室内用にスプリングを弱くして練習に使うつもりですが、愛着が出てくるかどうか。
Posted by ラスティネイル at 02:08│Comments(0)
│エアコッキング