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2022年01月22日

実射のための火縄銃選び

要望があったので標的射撃の実射用に火縄銃を選ぶポイントを書いてみます。
まず口径は10~12mm程度が良いと思います。
私はもっと小口径が撃ちやすくて好きですが、装填やら扱いがシビアになるようです。
理論上は口径が大きいほど命中率も上がりますが、
人間が扱うと扱いの難しさで当たらない場合が多く、実射に慣れてきたら腕と相談でしょうか。
銃身長は80~100cm程度が使いやすいように思えますが、結局は好みですね。
基本的に最近まで誰かが実射していたか、当時から未使用で保存状態も最高に良いぐらいのものぐらいしか手に入れてすぐは撃てないので、
銃身にリーマーをかける、少し磨くぐらいも含めた選び方で書きます。


火縄銃で一番大事なのは銃身です。
正直、火縄銃は銃身以外の問題はちょっと工作をしたり器用な人なら解決できるものが多いです。
しかし、銃身は中の内部の細長い穴を磨いたり削るのは普通の工作とは大違いですし、
強度が必要な部分なので摩耗しているから盛るというのも困難です。
一応、基本的に口径が変わらないのが望ましいが、
安全性を求めるため修理のために少し口径が大きくなるとか、減った銃身の中にパイプを入れて少し口径が小さくなるのも仕方がないと、
文部科学省は言っています。
しかし、小口径化して撃ちやすくするためパイプを入れることが横行したため、現在は前装銃射撃連盟ではパイプ入りは使用禁止です。
そして、減りやすいのも銃口なので、まずは銃口を見て、穴がちゃんと丸いか確認しましょう。
丸くてもテーパー状に広がっているものは、一番広いところまで全体を広げないと平らな筒にならないので、
銃口部以外の錆び落としプラスアルファでそれぐらいまで広がりそうという程度の広がりに許容しておいた方が良いです。
二重巻張とかなっているものは強度が高く、半巻張でも何も巻いてないよりはずっと上部になります。
銃身全体に対して薬室周りがそれなりに太くなっているものは、基本的に巻いて太くなっていると思いますけどね。


酷いものは穴が全然丸くありません。


火道(火皿の細穴)は直径1.5mm程度か少し小さいぐらいが良いでしょう。
狭すぎると不発になりやすいですが、広いと薬室の火薬の燃焼の吹き戻しが多くなり、
危ないし初速も下がり安定しにくいでしょう。
また、点火薬(口薬)を盛る窪み(池)もそんなに大きくなくて良いです。
この画像でもちょっと大きめです。
点火薬をたくさん盛れると不発が少なくなるように思えますが、
実は火縄が触れてから弾が出るまでの時間が伸びたり、火縄で塞がれない分だけ火が中に入りにくくて逆に不発になったりします。
火道まで火薬を詰めるなら不発は起きないですが、タイムラグはより増えます。


これは火道が広すぎるような銃です。


この銃は火皿付け根に上側に穴が開いています。
薬室付近で火道が広がっているためです。
外観からわからない場合が多いので、薬室側から確認したいところですが、
ボアスコープが無いと結構難しいものです。



火皿が減ったものを鉄を埋め込んで修理しているものがあります。
ここは見た目で明らかにわかるものは技術が怪しいです。
段差があるもの、合わせ目の線が真っ直ぐや円ではなく滑らかでないものは避けた方が良いでしょう。
工作の仕上げと強度は別ですが、仕上げと技術は非常に関連性が高いです。
また、真鍮を流し込んでいる簡易的なものも見かけます。
それで済むからそうしているのでしょうけど、技術がないか手抜きなものです。
絶対ダメとは言いませんがあんまり良いとも思えません。


火挟が窪みの中心に火縄を落とせるか確認しましょう。
左右のズレは曲げて直せることが多いですが、違う銃の合わない火挟が取り付けられていて、
前後が全然合わない場合もあります。


火皿の上面と火蓋の隙間があまり大きいと安全ではありません。
また、盛りすぎた点火薬を摺り切りする役目もあるので、
粉状の火薬が摺り切りできるかをイメージするといいかもしれません。
また、雨覆(横の板)が正規の固定方ではなく接着のものがあるので注意しましょう。
外れないと掃除がしにくいです。


火挟はこれぐらい上がってロックされれば十分です。
火縄が近くて危ないようにも見えますが、火縄から灰が落ちないように火縄の状態に気を使います。
余り高く上がると安全ですが命中させにくくなります。
カラクリはロックが確実か火挟を少し押してみたり、引き金をゆっくり引いてもちゃんと落ちるか確認しましょう。
火挟は落ちた状態でもバネのテンションがかかっていた方が良いです。



二枚目はわざと隙間を空けていますが、銃身後部が銃床にちゃんと当たらず隙間があるものは怪しいです。


オリジナルの照準は溝幅が1mm程度しかありません。
見やすいようにと後からあまり広げてあるとオリジナルではないから競技に使用できません。
2mm以上あるとまずダメなようです。
照星の幅が凄く大きくて、それに合っているなら問題ないかもしれませんが。


尾栓は締めた時に四角の上辺が銃身の上辺と平行なものが減りが少ないでしょう。
銃床にある尾栓が入る穴を見て、その穴の四角が傾いている場合はその傾いている状態が当初の状態なので、
それはそれで問題ないです。
尾栓は抜けないこと、燃焼ガスが後ろに漏れないことが大事ですから、
ネジ山がしっかり噛んでいるものを選びましょう。
オネジもメネジもネジ山の角がちゃんと形になっているものが良く、丸まっているものは減っていることが多いです。
尾栓を外した時にネジの谷が錆や汚れで埋まっているような場合も、そこにメネジの山がないということになります


正確な測り方ではありませんが、この口径6.2mm(オリジナル状態は5.9mm以下)の銃の場合、


尾栓の外径は9.35mm


メネジの内径が7.9mmで直径差が1.45mmとなり、ネジ山が片側0.72mmぐらい噛み合っていることになります。


尾栓の小径が6.7mmなのでオネジとしてはネジ山であと0.6mmぐらい噛み合うメネジでも良いわけですね
まあ、メネジの外径は筒の端の方が減りやすいので、前の方はもうちょっと山が減っていなくて大きく噛んでいると思います。
そしてメネジの内径が口径より大きいので、もうちょっと口径を広げるように磨いてもメネジは削らずに済みます。


この10.9mm口径の場合


オネジ外径が12.4mm


メネジ内径が口径と同じ10.9mmなので、ネジ山の噛み合いはたまたま先ほどの銃と同じぐらいの0.75mmとなります。
元のネジ山の高さに対して現在の噛み合っている高さがどれぐらか気にした方が良いです
まあ、その割合を考えなくても最低0.5mmぐらいは欲しい気がしますね。
オネジとメネジの外径差で1mmと。
あと、メネジもオネジもテーパーネジになっている銃は分かりにくいですね。
私は根元で考えますが。


オネジの小径が10mmほどです。
実はこの銃のメネジの内径と口径が同じなのは銃身を磨いた時に一緒に広が広がった寸法なのです。
どちらも元は10.4mmぐらいでした。
なので、このメネジは奥に行ってもひっかりが増えたりはしません。
もし、銃身内の錆や朽ち込みをなくすために口径を広げていくとネジのかかりも浅くなります。
弾の通る部分だけ広げてネジは削らない方法もありますが、掃除もしにくく、
不発の時に尾栓を外しても後ろには弾が抜けないようになります。
さらにと止まり穴は仕上げにくいので薬室周りの径が小さくなりがちですが、
それは火薬しか入らないならそんなに問題というわけでもないですね。


こんな風に銃口に尾栓が入ってしまうような銃は、銃身内が真っ直ぐな円筒になるように削ったら、
メネジのかかるところが無くなってしまうわけです。
入りはしなくても尾栓のオネジ外径と口径の直径差があんまりないものはネジのかかりが小さくて危険ということになります。

そのほか、欠点は自分が直せるというもの以外は無いようにして、妥協しないようにしましょう。
まずはやはり前まで誰かが実射していたものが安心です。
演武の空砲で使用というのは、演武で使えるというだけで状態が良いとは必ずしも限らないのでご注意ください。
あとは構えて狙ってしっくりくるかですね。  

Posted by ラスティネイル at 03:05Comments(2)古式銃