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2022年08月17日

和製ヤーゲル銃

和製ヤーゲル銃
和製ヤーゲル銃
和製のヤーゲル銃です。
全長112センチ、口径は17ミリ弱あります。
7条のライフリングによりゲベール銃より飛躍的に命中率が高い反面、
装填時に弾をライフリングに食い込ませないといけないので力が必要で装填に時間がかかるとされています。
古い日本の書ではゲベール銃を歩兵銃、ヤーゲル銃を狙撃銃と書いている場合もあるようです。

和製ヤーゲル銃
エンフィールド砲兵銃よりちょっと長い程度。
命中率重視の割には短めです。
短い銃身でも当たるからなのか、長いと余計に装填が大変だからなのか。
何故かトリガーガードが小さいですが、問題となるレベルではないですね。

和製ヤーゲル銃
和製ヤーゲル銃
和製ヤーゲル銃
和製ヤーゲル銃
ハンマーはセーフティコックとフルコックです。
そこらへんはゲベール銃と同じですね。
海外製のものはセットトリガーが搭載されているものも多いみたいです。
強力なバネのハンマーをロックするシアは重いので、
それよりは軽いバネの小ハンマーをもう一つ取り付けて、
その小ハンマーでシアを叩くことでハンマーを解放するようなシステムです。
小ハンマーを作動させるだけなら、軽くキレの良いトリガーにできると。

和製ヤーゲル銃
裏側のロック取付用ネジ付近はこんな感じです。

和製ヤーゲル銃
和製ヤーゲル銃
和製ヤーゲル銃
高級なものは装飾が付く文化が昔は一般的だったのか、
和製でもそれをコピーしたからかトリガーガードやロッドガイドは装飾的です。
ちょっと垢抜けないですが、真鍮に厚みがあるので重厚感はあります。

和製ヤーゲル銃
和製ヤーゲル銃
フロントサイトは真鍮製。
バレルはテーパードのオクタゴンバレルですが、マズル付近はまたちょっと太くなっています。
そこらへんは火縄銃的ですね。
銃身は和製ではあまり見ない薄いものになっています。
確証はありませんが鋼製かなと思っています。
そんなに軟らかい感じもしませんし、軟鉄ではすぐにライフリングが駄目になるでしょう。

和製ヤーゲル銃
和製ヤーゲル銃
リアサイトは2段式で、大きなV時の底に小さなノッチがあります。

和製ヤーゲル銃
和製ヤーゲル銃
ストックは丸いネジの頭が出っ張ていて邪魔ですが、
ここも厚めの真鍮のバットプレートが付いています。

和製ヤーゲル銃
ロックもゲベール銃に近い機構ですね。

和製ヤーゲル銃
トリガーガードはネジ一本とピンで固定されています。
トリガーのところの鉄の部品を銃身のタングを固定するネジの受けとなっています。
特にトリガー軸などにはなっておらす、トリガー軸は木部の穴だけです。

和製ヤーゲル銃
和製ヤーゲル銃
トリガーガードには二と漢数字がしっかり彫られています。
その上にも薄くただの棒のような二がありますが、二十二なのか、二を二回書いただけなのか。

和製ヤーゲル銃
和製ヤーゲル銃
銃身後ろを見ると銃身とプラグ(尾栓)のネジの境目がほとんどわかりません。
組合わせた後に削って整形しています。

和製ヤーゲル銃
和製ヤーゲル銃
外したネジはネジ山が密着していたからかほぼ錆がありませんね。
あまりテーパーもついていないネジで密着しているのでなかなか凄いです。
後ろから見て右側の一番後ろ部分が開いた時に欠けてしまってます。

和製ヤーゲル銃
尾栓のついた状態で整形してるから銃身にも段差がついています。
メネジも綺麗な状態です。

和製ヤーゲル銃
尾栓を付け直したら一部に隙間が。
これは整形するときにただ削るのではなく、叩いたりして均して慣らしていましたね。
一番隙間が無くなる方法ですが、噛み合っちゃってネジが外せなくなり、今回は最初に凄い力が必要でした。
一度外してからは当初と比べてかなり軽く回るようになりましたが、ちょっと美しさに欠ける見た目になってしまいました。
さすがに、150年前の物をメンテナンスしようと思うと外さずになできないので仕方がないのですが・・・

和製ヤーゲル銃
和製ヤーゲル銃
和製ヤーゲル銃
そして、7条のライフリング。
この頃のは尖っていて星みたいな形状のものが多いのですが、これは平らな溝のライフリングですね。
ツイストもそれなりに急です。
何故か薬室から100ミリぐらいはライフリングが無くなっています。
命中率はどうなってしまうのか。

和製ヤーゲル銃
和製ヤーゲル銃
和製ヤーゲル銃
和製ヤーゲル銃
和製ヤーゲル銃
和製ヤーゲル銃
ボアスコープで薬室から銃口方に進んでいった画像です。
効果がなさそうな浅いのが段々深くなっていっています。
手彫りなので溝に酔歩があったり、溝が少し幅広くなっているところもあります。
これも命中率にどう影響するのか。
また、最後の画像では溝の中の段差がどの溝でも同じようについているのが興味深いですね。

和製ヤーゲル銃
メネジのネジ山ですが、拡大されすぎちゃってよくわからないですね。
ボアスコープは見たい範囲やピンとが合いにくく、割と観察が難しいです。
ちゃんとした値段の物なら使いやすいのでしょうか。
日本では銃身のメネジをどうやって切ったかというのがよく論争になります。
銃と作るうえで基本となる部分なのにわからないと。
海外ではタップがあったけど、日本にはタップなどなかったのではないかと。
ちなみに、海外はタップと言われていますが、エンフィールド銃を見てると旋盤のようなもので加工していますね。
でもって、日本では初期のタップのようなもので加工したというのと、
オネジを入れてから外から叩いて鍛造でネジを転写したというのが主流の二つですが、
当時は色々な方法があったと思いますね。
製造方法なんて目的を達成できればいいので、色々あるものなのです。

和製ヤーゲル銃
今回のヤーゲル銃をネジの切り上がりを見ると溝がなだらかに浅くなっていって無くなっています。
タップではタップの刃が止まったところで螺旋に対して垂直に溝が止まりますから、タップではなさそうです。
ちなみに、この切り上がり部分は尾栓のネジより奥まで切られています。

和製ヤーゲル銃
実は切り上がりがもう一か所あって、こちらは最後にピッチが狭くなって前の溝に近づいて切り上がっています。
画像の上の方の部分です。
他の火縄銃を見ているとこちらが本来のようです。
先の画像のは前工程で掘り進み過ぎた感じでしょうか。
タップでは途中でピッチを変えるのは難しく(山の処理でそう見えることはあります)のと、
切り上がりが二か所できるというのもあり得ないことです。
もちろん、尾栓に対して銃身を鍛造した場合も普通はありません。
尾栓の位置が違う状態で鍛造していればあり得ないわけはないですが、おそらく違うでしょうね。
そうすると、一本物の刃物で手彫りの可能性が高いです。
ガイドのようなものを使うのか、刃に目印でもついているのか。
まあ、長い銃身内のライフリングを手彫りで彫れるぐらいですから、
浅い位置にあるメネジぐらい難しくないのかもしれません。
文献が残っていなければものを観察するしかないですね。



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Posted by ラスティネイル at 01:31│Comments(2)古式銃
この記事へのコメント
凝った銃で大変勉強になりました。
銃身や尾栓の加工など。
とても値が張りそうです。(小並感)
実際、どのような鍛冶がどこからのオーダーで造り上げたのか興味は尽きません。

またトリガーに関する驚くような機構も初めて知ることができました。

重ねて申しますが本当に勉強になりました。
Posted by 都内在住 at 2022年08月17日 09:53
藩として力を入れた可能性も、製作者が研究熱心だったという可能性もあるので背景はわからないですね。

セットトリガーはこの銃にはついていませんが、今でも使われている機構です。
基本は単発銃ですが、G3SG-1にも搭載されています。
原理を知らないと図を見てもわかりにくい機構です。
Posted by ラスティネイルラスティネイル at 2022年08月17日 11:35
 
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